NIの開発プラットフォームを構成する重要な要素の1つが、再構成可能な計測/制御用ハードウェア「CompactRIO」である。NIWeek 2011では、再構成可能な計測/制御用ハードウェアの製品群に新機種を2つ追加した。
2011年8月2日〜4日(現地時間)に開催された、National Instrumentsのカンファレンス兼展示会「NIWeek 2011」で、同社が明確に打ち出したのが、「グラフィカルな開発プラットフォームを提供するベンダーを目指す」というメッセージだった。
データ集録や計測分野に広く使われているグラフィカル開発ツール「LabVIEW」や同社の計測/制御ハードウェアを、ツールまたはハードウェア単体として捉えるのではなく、両者を合わせたプラットフォームとして提供することで、顧客のグラフィカルなシステム開発を支援するという方針だ(図1)。
同社のいう開発プラットフォームを構成する重要な要素の1つが、再構成可能な計測/制御用ハードウェア「CompactRIO」である。プロセッサとFPGA、入出力インタフェース部で構成した「RIOアーキテクチャ」を採用しており、柔軟性と処理性能を両立させたことが特徴だ(図2)。2004年に初めてRIOアーキテクチャを採用した製品を投入以降、継続的に拡充を続けてきた。NIWeek 2011でも、再構成可能な計測/制御用ハードウェアの製品群に新機種を2つ追加した(図3)。
新機種の1つ目は、CompactRIOの製品シリーズとして初めてマルチコアプロセッサを採用した「cRIO-908x」である(図4)。Intelのデュアルコアプロセッサ「Core i7」を採用しており、CompactRIOシリーズで最も処理性能が高いことが特徴である。例えば、同社従来品「cRIO-9024」と新機種「cRIO-9082」を比べたとき、64チャネルのPID制御時は5倍、32チャネルのFFT処理時は22倍に処理性能が向上した。
「LabVIEWを使って記述したプログラムコードなら、実装ターゲットをこの新機種に入れ替えるだけで、プログラムコードを手直ししなくてもマルチコアプロセッサの恩恵を受けられる」(NIのEmbedded Software部門のGroup ManagerであるPJ Tanzillo氏、図5)。
もう1つの新機種は、エネルギー関連機器や医療機器、さまざまな産業機器にそのまま組み込めることをうたった、量産用途向けのシングルボードRIO「sbRIO-9605/06」である。シングルボードRIOは、CompactRIOと同様の機能を1枚のプリント基板で実現したもの。
新機種では、比較的小型の機器にも組み込みやすいように、寸法を10.3×9.7cmに削減した。同社従来品に比べておよそ半分の面積に相当する。機能集積度の高いFreescale Semiconductorの32ビットプロセッサ「MPC5125」を採用したことや、NI独自のコネクタを使用したことで、小型化を実現した。
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