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「ZigBeeより軽くてANT+より賢い」、組み込み向け無線プロトコルが新登場ET2011 無線通信技術

スカイリー・ネットワークスが開発した「DECENTRA II」は、端末のシステムコストを最小限に抑えられる独自の無線プロトコルだ。コードサイズは45Kバイト、必要なメモリ(RAM)容量は4Kバイトと小さい。

» 2011年11月17日 19時16分 公開
[前川慎光,EE Times Japan]

 スカイリー・ネットワークスは、M2Mネットワークやスマートメーター、家庭/工場の状況センシングといったさざまな組み込み用途を対象にした、独自の無線プロトコル「DECENTRA II」を開発し、「Embedded Technology 2011/組込み総合技術展」(2011年11月16〜18日、パシフィコ横浜)に展示した。

 DECENTRA IIの最大の特徴は、動的に通信経路を形成するアドホックネットワークに対応しながらも、コードサイズは45Kバイト、必要なメモリ(RAM)容量は4Kバイトと小さいこと。しかも、無線ネットワークを構成する端末数が増えた場合でも、端末それぞれに必要なRAM容量は変わらない。「8ビットマイコンまたは、RAM容量の小さい16ビットマイコンでシステムを構成できるため、端末のシステムコストを最小限に抑えることができる。低消費電力の無線通信規格であるZigBeeの弱点を補ったプロトコルだ」(同社)という。

 一般に、ZigBeeのコードサイズは100Kバイト、RAM容量は8Kバイト程度必要だったという。また、ZigBeeを採用した場合、ネットワークを構成する端末数が増えると、それぞれの端末に必要なRAM容量も増えてしまう。コードサイズが小さい無線プロトコルとして、ヘルスケア用品やスポーツ用品に採用が進んでいる「ANT+」がある。これに比べると、アドホックネットワークといった複雑なネットワーク構成を形成できることが特徴である。「ZigBeeより軽くて、ANT+より賢い」(同社)とアピールした。

左は、スカイリー・ネットワークスの独自の無線プロトコル「DECENTRA II」を載せた無線ボード。右は、DECENTRA IIを採用して無線ネットワークを構成した様子。

 DECENTRA IIは、無線ネットワークを構成する特定の1つの端末がデータを収集する「コンセントレータ」となり、それ以外の端末はコンセントレータに向けて、データを中継しながら送るという構成を採る。データを中継可能なデバイス数(ホップ数)は、最大で6ホップ。各端末を同期させて協調動作させる仮想時計機能を有しており、無線ネットワークの中継端末を一斉にスリープ状態にさせることができる。物理層やMAC層には依存しないため、2.4GHzの「IEE802.15.4」や、920MHz帯の「IEEE 802.15.4g」といったどのような無線通信方式にも移植可能である。

 スカイリー・ネットワークスは、DECENTRA IIを2011年11月10日に発表したばかりで、一般に紹介するのは今回が初。2011年12月に評価ボードの提供を始める予定である。同社は、マルチホップ型の無線ネットワーク技術の研究成果を基に2001年に設立された。独自の無線プロトコルの他、ZigBeeやZigBee PRO、ZigBee RF4CEに対応したミドルウェアを提供している。

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