パナソニックは、ET2011で、セミコンダクター社が製造/販売している最新ICを披露した。デジタル家電向けSoC「UniPhier」の最新製品から注目のGaNデバイスまで、数多くの製品が展示されている。
パナソニックは、「Embedded Technology 2011/組込み総合技術展(ET2011)」(2011年11月16〜18日、パシフィコ横浜)において、デジタル家電向けSoC(System on Chip)「UniPhier」や独自コアを搭載する32ビットマイコン「AM32シリーズ」、GaN(窒化ガリウム)デバイスなどのパワー半導体の新製品を披露した。
UniPhierでは、2011年6月に発表したスマートテレビ用の「MN2WS0220シリーズ」を展示した(図1)。アプリケーション処理用プロセッサとして、従来品のUniPhierに搭載していた独自開発の「AM34」コアに替えて、ARMの「Cortex-A9」を採用したことを特徴とする。Cortex-A9はデュアルコア構成で、動作周波数は1.4GHzである。映像や音声などのマルチメディア処理は、従来品と同様に独自開発のUniPhierプロセッサで行う。
「AM32シリーズ」では、カメラからのデータ入力と画像処理/画像認識を1チップで行える製品「MN103SM2AK1」を紹介した(図2)。MN103SM2AK1は、動作周波数が72MHzの「AM32H」コアの他に、アナログカメラの入力インタフェースと3MビットのSRAM、5×5の積和演算回路などを集積している。比較的大容量のSRAMを内蔵しているので、画像処理/画像認識をマイコンで行う際に必要になる外付けのDRAMが不要である。また、積和演算回路を用いることで画像処理/画像認識を高速に行えることも特徴となっている。ただし、フラッシュメモリは集積していないので、SPI(Serial Peripheral Interface)にシリアルフラッシュROMなどを外付けする必要がある。
パワー半導体については、110nmプロセスを用いたパワーMOSFETや、同MOSFETとコントローラを1パッケージにしたDC-DCコンバータIC、開発中のGaNデバイスを披露した。110nmプロセスパワーMOSFETは、250nmプロセスを用いた従来品と比べて、オン抵抗を43%減の8mΩmm2、ゲート電荷量を9nC/mm2まで低減している。極性はNチャネルで、ドレイン‐ソース電圧が33V、ゲート‐ソース電圧が20V。ドレイン電流は2チャネル品で5.0〜6.5A、1チャネル品は6.5〜12Aとなっている。DC-DCコンバータ回路における変換効率は、負荷電流が20Aのときに他社品よりも1.5%高い88.5%を達成した(図3)。パッケージの外形寸法も2.8mm×2.9mmと小さい。パナソニックは、「2012年には、微細化以外の方法で工夫してオン抵抗をさらに低減する」方針だ。
また、この110nmプロセスパワーMOSFETとコントローラを1パッケージにした、降圧タイプのDC-DCコンバータICの発売も予定している。DC-DCコンバータ回路を個別のパワーMOSFETとコントローラICで構成する場合と比べて、実装面積を低減したり、スイッチング周波数を最大で2MHzまで向上できたりすることがメリットとなる。特にスイッチング周波数については、「110nmパワーMOSFETそのものの実力値としては2MHzを実現できるが、個別部品で構成する場合には配線などの寄生容量の問題で周波数を高めることが難しい。コントローラと1パッケージ化することでこの問題をクリアできた」(同社)という。
GaNデバイスについては、耐圧600V/電流容量15AのGaN-SBD(ショットキーバリアダイオード)とノーマリーオフGaN-HEMT(高電子移動度トランジスタ)のサンプル出荷を開始したことを明らかにした。GaN-HEMTのオン抵抗は100mΩである。これらのGaNデバイスをPFC(力率改善回路)内蔵の電源に使用した場合、95%以上の変換効率を達成した。
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