FPGA業界では、2000年代の後半になって新興企業の創設が相次いだ。いずれも米国に本社を置くファブレス企業で、大手ベンダーとは異なる特徴を打ち出していた。今回、そのうちの1社を中堅ベンダーが買収すると発表した。新興勢も設立から年月がたち、新たな展開の時期に差し掛かりつつあるのかもしれない。
FPGAの中堅ベンダーである米国のLattice Semiconductor(ラティスセミコンダクター)は2011年12月9日、2006年に創業した同分野の新興ベンダーである米国のSiliconBlue Technologies(シリコンブルー・テクノロジーズ)を買収すると発表した。既に正式契約を締結済みである。契約条件に基づき、Lattice SemiconductorはSiliconBlue Technologiesに約6200万米ドルを現金で支払う。買収の手続きは2011年第4四半期に完了する予定だ。
SiliconBlue Technologiesは、バッテリ駆動の消費者向け携帯機器をターゲットにしたFPGAを「mobileFPGA」と呼んで展開している。「低い消費電力と高い集積規模を両立していることが特徴だ」(同社)という。このFPGAはプログラム領域の基本素子にSRAM素子を使うタイプで、論理セルを構成するルックアップテーブル(LUT)は4入力1出力型の一般的な構造だ。コンフィギュレーションデータを格納する不揮発性メモリを集積した品種を用意しており、それを使えば外付けのブートROMは不要である。この不揮発性メモリには、標準的なCMOS技術で製造可能なOTP(One Time Programmable)メモリを採用しており、微細化の進んだ製造プロセスを適用することが可能だ。これが、低い消費電力と高い集積規模を両立できる理由だという。
Lattice Semiconductorで社長兼CEO(最高経営責任者)を務めるDarin G. Billerbeck氏は、報道発表資料の中で、「SiliconBlue Technologiesの買収は当社の長期戦略に沿ったものであり、消費者向け携帯機器市場における成長戦略を加速するものとなる。SiliconBlue Technologiesから主要な人材や顧客を取り込めるだけでなく、拡張性があり、低コスト、低消費電力の不揮発性FPGAが(製品ラインアップに)加わることにより、当社の製品ロードマップがさらに強化される。SiliconBlue Technologiesの最高経営責任者であるKapil Shankar氏は、Lattice Semiconductorにモビリティ事業部門のコーポレート副社長として加わり、当社のモビリティ製品ラインを統括する」と述べている。
Kapil Shankar氏は、同じ報道発表資料の中で、「Lattice Semiconductorからもたらされる世界規模の、実績に基づく市場からの信頼と財源により、SiliconBlue Technologiesは次の成長段階へと移行することができる。当社(SiliconBlue)が世界的規模で展開し、サポートを提供できるようになることで、当社の既存のお客さまは即時にメリットを享受できるだろう。また、Lattice Semiconductorによって追加されたリソースや経済的な強みにより、新しい顧客も当社のmobileFPGAソリューションを用いた設計に信頼を寄せてくれるはずだ」とコメントを寄せている。
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