IC Insightsが発表した半導体の分野別の成長率予測によると、NANDフラッシュ市場は、スマートフォン/タブレット端末市場の成長を受け、大きく伸びるとみられる。一方でDRAM市場は縮小傾向が続き、ついにNANDフラッシュ市場と規模の逆転が起きそうだ。
米国の市場調査会社であるIC Insightsによると、2012年は、世界半導体市場統計(WSTS:World Semiconductor Trade Statistics)が定義した33の半導体製品分野(カテゴリ)のうち、27の分野において成長が見込まれるという。また、IC市場全体の年間平均成長率は、2011年から7%増加するとみられている。2011年の状況から大きく変化することになりそうだ。
ただし、成長が見込まれるこれらの27分野のうち、市場全体の平均成長率を上回るのはわずか11分野にとどまる。さらに、2桁台の成長を遂げるのは、11分野のうちわずか6分野と予想されている。
2011年は、成長を遂げた分野がわずか15分野にとどまり、残りの18分野は成長率が縮小した。
注目すべきは、2012年の成長率ランキング予測で第1位を獲得したNAND型フラッシュメモリ市場で、15%伸びるとみられている。一方、NOR型フラッシュメモリ市場は、14%のマイナス成長でランキング最下位となった。NAND型フラッシュメモリ市場は、ここ数年の間、最も高い成長を達成している。これは、モバイル機器、とりわけスマートフォンやタブレット端末の市場が大きく成長しているためだ。SSD(Solid State Drive)の需要の高まりを受けて、NAND型フラッシュメモリ市場は2012年もそのメリットを享受するとみられる。
2011年に24%のマイナス成長となったDRAM市場は、2012年も縮小傾向が続き、3%減となる見込みだ。その結果、2012年には、NAND型フラッシュメモリの市場規模が初めてDRAMの市場規模を上回ることになりそうだ。
2012年の成長率を分野別にみると、2011年よりも減少しているものも多い。
有線通信アプリケーション向けアナログIC分野は、2011年に34%の成長率を達成し、最も大幅な成長を遂げた分野の1つだったが、2012年はわずか8%の成長にとどまるとみられる。
なお、無線通信向けロジックICの分野と32ビットマイコン分野は、15%成長する見込みである。無線通信向けロジックICには、スマートフォンおよびタブレット端末向けのアプリケーションプロセッサなどが含まれる。2012年は、NANDフラッシュを含めたこれら3つの分野が最も大きく成長すると予測されている。
この他、市場全体の平均を超える成長が見込まれる分野は、プロセッサ、ディスプレイドライバ、32ビット/16ビットマイコン、PLD、車載向けロジックIC/アナログICである。
また、4つのメモリ分野を含む、計6つの製品分野(NOR型フラッシュメモリとSRAM、EEPROM、DSP、ゲートアレイ、DRAM)は、2011年に続き2012年もマイナス成長となる見込みだ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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