Intelといえども、22nmプロセスを採用したCPUの製造は簡単ではなかったようだ。同社の次世代CPUの市場投入は、当初の予定よりも8〜10週間遅れるという。
Intelのエグゼクティブバイスプレジデント兼Intel ChinaのチェアマンであるSean Maloney氏は2012年2月26日、Intelの次世代CPU「Ivy Bridge」の出荷予定を2012年6月に延期すると表明した。当初の計画より8〜10週間の遅れとなる。
同氏は、Financial Timesの取材に対し「アナリストは、Ivy Bridgeの出荷時期を2012年4月と予測していたが、現時点では4月の出荷はない」と答えている。
Intelは当初、Ivy Bridgeの出荷予定を2012年の春頃としていた。だが、多くのアナリストはそれより早く出荷されると予想しており、2012年3月中旬から下旬に市場に投入されるという見方もあった。
Maloney氏は、Financial Timesに対し「現時点では、Ivy Bridgeの出荷は6月になると考えている」と語ったが、これはIvy Bridgeの全ての品種についてなのか、ある特定の品種についてなのかは不明だ。
Intelの幹部がIvy Bridgeの出荷延期を公式に表明したのは、今回が初めてである。同社は、「遅れの要因は、22nmプロセスの複雑さにある」と説明している。
Intelの広報は、Maloney氏の発言に関してコメントを発表していない。広報によると、Ivy Bridgeの出荷予定は、2012年第2四半期のまま変わっていないという。
米国の市場調査会社であるIn-Statでアナリストを務めるJim McGregor氏は、EE Timesに対し、「台湾の情報筋によると、サーバ向けのIvy Bridgeの出荷は2012年4月8日から29日に延期され、ノートPC向けのデュアルコアの『Core i7』と『Core i5』は2012年5月13日から6月3日に延期されるという」と述べている。また、「『Core i3』は予定通り2012年6月24日に出荷される」(McGregor氏)という。
半導体業界のあるアナリストは、匿名を条件に「実際には、出荷の遅れは特に問題ではない。AMD(Advanced Micro Devices)のチップ投入が遅れていることもあり、現時点では、Ivy Bridgeと競合するチップが無いからだ」と語った。
PC関連技術の記事やホワイトペーパーの発信を手掛ける米国のReal World Technologiesでアナリストを務めるDavid Kanter氏は、「Intelは長い間、CPUの開発を順調に進めてきたが、22nmプロセスのFinFET(立体構造トランジスタ)に関しては、さすがに簡単にはいかなかったようだ。これにより、TSMCやGLOBALFOUNDRIESなどのファウンダリ専業企業は今後、最先端のCMOSの製造おいて、さらなる課題を抱えることになると予想される」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.