2011年のファウンドリ市場は、米ドルの下落もあって前年比5.1%増となった。中でも、TSMCは売上高シェアを49%近くに拡大し、2位以下を大幅に引き離してトップに立った。
米国の市場調査会社であるGartnerによると、2011年の世界半導体ファウンドリ市場は、2010年から5.1%増となる298億米ドル規模に達したという。ランキングでは、上位4社が前年と同じ順位を維持した。上位4社のうち、TSMCはシェアを48.8%に拡大し、他社を大きく引き離して首位に立った。
Samsung Electronicsは、同ランキング第9位だった。ただし同社は、2011年にAppleから受注した約10億米ドルに上るウエハーの売上高を、ファウンドリ事業に計上していない。これをファウンドリ事業に計上したとすれば、同社は第4位にランクインするという。しかし、Appleが次期プロセッサ「A6」の製造受託先をTSMCに切り替えるのではないかという憶測が広まっており、SamsungがAppleからの受注を失う可能性も指摘されている。
世界半導体市場統計(WSTS:World Semiconductor Trade Statistics)によると、2011年のファウンドリ市場は、半導体市場全体に比べると好調だったという。半導体市場の成長は横ばいで、前年と同様、3000億米ドルをわずかに下回る規模を維持している。Gartnerのアナリストは、「ファウンドリ市場の成長は、米ドルの下落に大きく起因している。米ドルの下落がなければ、ファウンドリ市場の成長率は0.7%にとどまっていただろう」と述べている。ファウンドリ市場は、半導体市場全体と同様に、2011年3月11日に発生した東日本大震災と、2011年後半にタイを襲った洪水によってサプライチェーンが寸断され、その影響を大きく受けた。
Gartnerでリサーチディレクタを務めるSamuel Tuan Wang氏は、「ファウンドリ市場は2009〜2010年にかけて40.5%の成長を記録したが、2011年はPC製造と消費需要全般が落ち込んだことと、2011年中旬から顧客企業が在庫を低く抑えたことなどから、比較的平坦な成長となった。しかし、携帯電話機やタブレット端末向けの需要のおかげで、売り上げの低迷は免れた」と解説している。
ファウンドリ業界では、事業統合が進んでおり、トップ5社だけでファウンドリ市場の80%に上るシェアを占めている。
こうした中、イスラエルのファウンドリであるTower Semiconductorは、前年から売上高を20.4%伸ばし、2010年の第6位から2011年には第5位に順位を上げた。一方、アナログ/ミックスドシグナルを手掛ける韓国のDongbu HiTekは、2010年には第5位だったが、2011年は売上高を5.7%下げ、第8位に転落した。売上高を最も大きく下げたのは、中国のファウンドリ企業であるSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)で、前年から15.1%の減少となった。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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