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ファウンダリ各社、28nmプロセスの歩留まり向上に苦戦ビジネスニュース

やはり32/28nmプロセスの導入は簡単ではないようだ。欠陥の多さや歩留まりの低さに加え、顧客企業の開発予算縮小も、ファウンドリ各社を苦しめている。

» 2011年11月07日 11時10分 公開
[Peter Clarke, Dylan McGrath,EE Times]

 Gartnerなどの市場調査会社によると、半導体ファウンダリは現在、最先端の28nmプロセス技術の導入において、大きな課題に直面しているという。

 Gartnerでリサーチ担当バイスプレジデントを務めるBob Johnson氏は、英国ロンドンで実施したクライアントミーティングで「ファウンダリは特に、高誘電率膜/金属ゲート(HKMG:High-k/Metal Gate)を適用した32/28nm世代のCMOSプロセス技術の導入に苦戦している」と話した。

 Johnson氏によると、「28nmプロセス技術を適用したバルクSi(シリコン)HKMGの製造は困難だ。ファウンダリ各社は、歩留まりの低さや欠陥の多さに苦慮している」という。この数日前にも、半導体製造装置ベンダー数社の経営陣が同様のコメントを発表している。

 また、米国の半導体装置メーカーであるKLA-Tencorでプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるRichard Wallace氏も、同社の四半期決算を発表する際、「ファウンダリは28nm半導体製造装置に投資しているが、歩留まりに課題を抱えている。28nmプロセスの歩留まりの向上には、ファウンダリ各社が苦戦している」と述べた。

 また、GarterのJohnson氏は、「不安定な世界経済を受け、顧客企業(半導体ベンダー)が28nm製造技術を適用した半導体開発プロジェクトを断念するケースも多く、28nm半導体製造装置の需要は低減している。顧客企業の開発予算も縮小していることから、28nmプロセス技術への移行には時間がかかるとみられる」と述べている。

 こうした見解は、台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)が述べた強気な見通しとは食い違っている。TSMCは2011年前半に、同社の28nm製造技術の導入件数が、40nmが立ち上がってきた当初の3倍に達していることを明らかにした。TSMCはこの発表当時、2011年の年間成長率を20%に設定していたが、2011年1〜9月の同社の売上高は、2010年1〜9月と比べて4.2%増にとどまっている。それでも、TSMCは「2011年における当社の成長率は、半導体市場全体の成長率を、ほんの数%程度ではあるが上回る」としている。

 Johnson氏は、「ファウンドリ各社は、需要喚起を図るために、28nmプロセスの歩留まりの向上に取り組んでいる。しかし、2012年においても、28nm世代のHKMGの出荷数が、300mmウエハー換算で20万枚を超えることはないだろう。つまり、28nm HKMGがファウンドリの収益に占める割合は4%に満たないことになる。28nm HKMGの本格的な出荷は2012年以降となる見通しだが、以前に予想されていたよりも導入のスピートは遅い」と述べている(図1)。

図1 プロセス別に見た1年当たりのウエハー出荷量の予測値 図1 プロセス別に見た1年当たりのウエハー出荷量の予測値(200mmウエハー換算、単位:1000枚) 32/28nmのカーブは45/40nmに比べて緩やかであることが分かる。出典:Gartner

 Johnson氏は、「例えば、GLOBALFOUNDRIESは32nmプロセスのSOI(Silicon On Insulator)チップの製造に苦戦していた。同社はAMDに32nm SOIチップを提供する契約を結んでいたが、歩留まりが低かったため、提供するウエハーの数を増やすことで対応した。一方、世界最大の半導体企業であるIntelは、ファウンドリに先駆けてHKMGを導入しており、既に22nm製造技術に移行している。半導体業界はIntelから1世代遅れをとっている」と説明した。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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