世の中にはいろいろな方がいますが、大きく2種類の人間に大別できます。「英語に愛される人間」と「英語に愛されない人間」です。
われわれエンジニアは、エンジニアである以上、どのような形であれ、いずれ国外に追い出される……。いかに立ち向かうべきか!?→「『英語に愛されないエンジニア』」のための新行動論」 連載一覧
中学から高校、大学、そして社会人になっても、今なお、私たちは、「必死に勉強すれば、なんだってできるのだ。英語だって例外じゃない」と言われ続けています。確かに、日々の激務の中から時間を捻出して、英語を身につけた方はいらっしゃいます。現実に、私はそのような人に出会ったことがあります。そして、数多くの成功体験談が、インターネットに溢れ、書店に書籍として詰み上げられています。
しかし、そのような成功体験をしている人は驚くほど少ないように思います。私が出会った人の中でも数えるほどしかいません。その一方で、われわれ日本人が「英語学習」に費す時間やお金は、全世界的に見ても決して少なくありません。これは、各種の市場調査やデータからも明らかです。
あなたは、これを一度でも「おかしい」と思ったことはありませんか。そこで、私は連載のお誘いを受けた時に、ある1つの仮説を打ち立ててみました。「日本人には、英語の習得において詰まるところ2種類の人間しかいない。それは、『英語に愛される人間』と『英語に愛されない人間』である」であると。
はじめまして。江端智一と申します。私は、典型的な「英語に愛されない人間」です。ある大手総合電機メーカーに入社後、20年間が経過した主任研究員です。これまでやってきた研究内容や分野は多岐にわたっています。最近の仕事からさかのぼってみると、
この他、欧州の電話会社や米国の有名大学、スイスの半導体モジュール企業との共同研究を担当したこともありました。皆さんが、電車の中で無線LANを使って電子メールを送信できたなら、もしかしたら、私の特許発明が役に立っている可能性があります。
異色の研究としては、電子メールを未来や過去に送るという研究をしました。国内、海外の特許権として幾つか成立しています。世界中の誰にもまねができないと自信を持って語れる研究成果は、「電子レンジの2つのセンサだけで、サンマとサバを自動判別するアルゴリズムを開発した」ということでしょうか。これを人前で堂々と発表した時、聴講者が下を向いて震えながら「笑いをこらえていた」らしいです。
このようにさまざまな研究業務に合わせるかのように、海外出張の経験は、比較的多くありました。国際学会や海外の標準化団体の会合、海外の大学との共同研究の打ち合わせ、現地での業務など全部ひっくるめると、少なく見積もっても20回以上は海外に出張してきたと思います。出張先は、米国、イギリス、ドイツ、フランスと、あと2カ国くらいはあったはずです。さらに、家族引きつれて米国に2年間赴任していました。コロラド州の大手通信機器メーカーと製品開発を共同でやってきました。
このように私には、私自身ですら驚くほどの、華々しい海外出張や海外赴任の経験があるのです。海外出張や海外赴任において、英語によるコミュニケーションは不可欠だというのが一般的な認識です。その私がなぜ、自分のことを「英語に愛されない人間」などと言わなければならないかについては、次回(第2回)に詳しくご説明致します。
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