この連載の対象読者は、エレクトロニクス分野のエンジニアの皆さんであって、現時点において「英語」との付き合いに支障を生じている若手の方に読んでいただきたいと考えております。「若手の方」とは、以下のような方を想定しております。
そして、これが大切なのですが、
なぜ、そのような「若手の方」に読んでいただきたいのか。世の中の悪い流れ全てが「若手の方」にロックオンして動いており、それが、不条理なくらい避けがたいものだからです。「若手の方」の最大にして最悪の弱みは、その「エンジニアとしての『余命の長さ』」にあります。
少子化問題、需要者への商品情報の氾濫、薄利多売の電機業界、日本のエレクトロニクス市場の縮小、アジアの安い労働コスト……。これらの状況の全てが、私たちエンジニアを、日本から追い出そうとしています。
そして言語や文化も違うさまざまな国のさまざまなエンジニア、またはエンジニアの卵が、私たちの現場に放り込まれ、そして、私たち日本国内のエンジニア自身もまた、そのような者として海外の現場に送られ続けます。
そのようなエンジニアの中において、特にエンジニアとしての「余命」の長い「若手の方」は、最初の1回や2回は逃げることができたとしても、これからのエンジニア人生の全期間、全て逃げ切るのは不可能に近いと断言できます。そして、「逃げ切れない『あなた』」に対して「逃げ切った『上司たち』」には、あなたに伝授するスキルがありません。いわば、「若手の方」は、目隠しをしたままで海外の現場に放り出される「第1期生」なのです。
本連載は、「『海外で仕事をしたい』なんて一言も言っていない」のに、海外での仕事を命じられてしまった、ゆくゆくは命じられるであろう「あなた」に、
を、ここできっちり認識していただいた上で、
と考えております。そして、この連載が対象としない方は以下の通りです。
(1)「英語で困ったことは一度もない」、「英会話は日本人の常識だ」と考えている人は対象外です。私はあなたが嫌いです。
(2)この連載は、日本政府が期待しているような「国際コミュニケーション」の人材の育成を目的としません。特に、異種文化間の相互理解というような高尚なことには目もくれません。そんなことは、どこかの市民会館の文化セミナーでも聴講してください。
(3)この連載は、仕事が終った後で、夜景の見えるバーでのきれいな外国のネーチャン、いかしたニーチャンとのちょっとハイソな会話を楽しむことを目的としません。油の臭いのする工場のラインで、現地のエンジニアと大声で怒鳴りながら仕事をする場面を想定します。
つまり、英会話学校の存在意義でもある「英会話能力の取得」を目的としません。絶対的な意味においてTOEICや英検のランク昇格は全く期待できません。むしろ逆です。「英語に愛されない人間」である私たちが、海外で「英会話をしないで」仕事をするための技術の1つの手段をご紹介するものです。
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