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「AMDの製品こそ、デジタルサイネージ市場に最も適している」――グローバルセールス担当に聞くデジタルサイネージ/インタビュー(2/2 ページ)

» 2012年06月26日 12時16分 公開
[佐々木千之,@IT MONOist]
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業界の要望をベースに開発したFirePro W600

Caracappa氏 FirePro W600は既存製品の良いところに、デジタルサイネージを積極的に推進しているソフトウェアベンダー、ハードウェアベンダー、システムインテグレーター、そして業界・市場から得た新しい要望を組み合わせて開発した製品です。

 例えば、複数の高解像度ディスプレイ出力のサポート、省電力機能、高解像度の画像/ビデオコンテンツ対応、低いTCO(Total Cost of Ownership)、1つの製品でのさまざまなサイネージソリューションへの対応、長い製品ライフサイクル(5年間、延長オプションあり)などです。

 複数台のプロジェクターを組み合わせ、1つの大きな画面を構成するような使い方をするとき、オーバーラップさせて継ぎ目なく見せる機能や、複数台の液晶ディスプレイで同様に大画面を構成するとき枠(ベゼル)の幅を考慮して画像が分断されていないように見せる機能は、既存製品の顧客にとても好評です。FirePro W600は、6つのMini DisplayPort(DisplayPort 1.2対応)を備えており、ディスプレイ1台当たり最大4K2K(4096×2304、60Hz)の解像度をサポートしていますので、6台(3×2)で12K4Kという非常に大きなサイネージ表示が可能です。

デモ環境 画像3 インタビュー時、ディスプレイ6台構成のデモシステムを披露してくれた

 加えて、FirePro W600はそれぞれのディスプレイ出力ごとに独立した音声チャネルを持ち、1つのFirePro W600で6つの独立した音声付きデジタルサイネージを構築できます。これは業界でも初めての機能です。また、これも業界初となりますが、FirePro W600はPCI Express 3.0(×16)に準拠しており最大毎秒8Gバイトという広いバンド幅を備えています。省電力性ということでは、ディスプレイがパワーセーブモードになったときに、GPUへの電力をカット(冷却ファンもストップ)することで最大95%の電力を削減できます。これらの機能は、競合他社の製品ではまだ実現されていません。

MONOist FirePro W600の特徴として6画面出力がありますが、日本のアクセルなども6画面出力に対応したグラフィックスLSI製品を出しています。そうした製品との差別化についてはどうお考えですか。

Caracappa氏 他社の製品がデジタルサイネージ以外の市場も考えた製品なのに対し、FirePro W600は画面解像度、独立したオーディオ、PCI Express 3.0準拠など“デジタルサイネージ専用”として設計しています。また、電力消費をチューニングしていて、TCO削減にも寄与します。複数台のプロジェクターや液晶ディスプレイでの大画面構成も、他社ができないわけではありませんが、さらにAMDではシステムの設置を支援するツールなども用意しています。

MONOist FirePro W600の売り上げの見通しについて教えてください。また、AMDにおけるデジタルサイネージ製品の売上比率はどのくらいですか。

Caracappa氏 非常に急峻な立ち上がりになると思っています。というのも出荷前から引き合いがあり、最初の半年で数万台の出荷ができると考えています。

 デジタルサイネージ製品の売上比率は、CAD向け製品などを含む全プロフェッショナルグラフィックスビジネスのおよそ10%です。CAD、デジタルコンテンツ作成、そしてデジタルサイネージの順です。

MONOist いわゆるデジタルサイネージ以外の展開についてはどう考えていますか。また、3Dへの対応についてはどうですか。

Carracappa氏 基本的にどんなデータでも可視化できればこの技術が使えます。例えば、証券業界では1人のディーラーが複数の高解像度ディスプレイを使っています。また、医療分野では実物大表示のディスプレイが考えられます。医療分野では現在3Dのディスプレイシステムがあるのですが、それを実物と同じ大きさで表示できると思います。今回のFirePro W600では3Dをサポートしていませんが、これはまだメガネを使わない3Dディスプレイが少ないためです。ただし、いずれはサポートしていくことになるでしょう。

MONOist 最後に、これからのデジタルサイネージ向け製品の方向性について教えてください。

Caracappa氏 確実なのはディスプレイの数が増え、解像度ももっと高くなるということです。ディスプレイが増えると制御するソフトウェアが重要になってきます。シンプルな使い勝手のビデオ処理ツール、例えばシャープネスやコントラストを自動調節するようなものです。

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