士林電機は台湾最大のインバータやサーキットブレーカのメーカーで、台湾で約4割の製品シェアを持つ。日本企業を含めた世界の大手メーカーにOEM供給しているという。工場では日本式の生産管理体制を敷き品質の高さが評価されているとのことだ。
Good Will Instrumentは「GWINSTEK」ブランドで知られる総合計測器メーカー。力を入れているのはハイスペックではない中堅市場で、教育・産業分野向けオシロスコープやスペクトラムアナライザ、生産ライン向けの信号発生器や電源などだ。教育分野向けの製品では機能を簡略化して徹底的にコストを下げ、スイッチオンですぐに使える軽量の製品を出している。例えば「スペクトラムアナライザでは重さでライバル製品の2分の1〜3分の1、価格は6分の1だ」(同社)と主張する。事業分野で大きいのは電源装置で、今後はグリーン製品に対応する機種の開発に力を入れるとしている。なおGood Will Instrumentは、日本のニッケテクノシステムから「TEXIO」ブランドの電源・計測器事業を買収し、2012年10月1日付けで100%子会社のテクシオ・テクノロジーを設立している。
Universal Microelectronics(UMEC)は変圧器や電源のほか、AndroidタブレットやISDNモデムといった情報装置なども手掛けている。電源はPCや液晶ディスプレイ、テレビ向けの製品を生産しており大手メーカーに採用されている。最近はLED電球向けの電源の製造に力を入れているという。日本メーカーとのつながりも多く、比較的廉価なカーナビゲーションシステムや船舶用レーダー、魚群探知機などをOEM/ODM供給しているとのことだ。また日本の教育市場向けのAndroidタブレットについても交渉中としていた。
PROTECH SYSTEMSは1982年設立の、産業用組み込み向けCPUボード、工業用PC、POSターミナルの設計製造を手掛ける企業。工業用PCに要求される防水や温度変化に耐えるといった条件をクリアし、POSシステムに求められる多機能製品も開発・提供している。また全ての製品がEUのRoHS指令に適合しているという。PROTECHでは日本メーカー向けのOEM/ODM事業を20年以上も手掛けており、ティア1メーカー向けに供給するなど、ODM事業のおよそ3割は日本向けとしている。
Eris Technologyは1995年設立と比較的若いが、ダイオード製造に特化して急成長した、各種ダイオードとシリコンウェハーの製造販売を手掛ける企業だ。初期はダイオード用ウェハーを輸入して製造していたが、ウェハーから自社生産するようになった。米DiodesにダイオードをOEM供給する立場だったが、現在はDiodesに資本参加するまでになったという。R&Dと高品質が強みとしており、ダイオードは比較的簡単な製品と考えられがちだがErisではコスト低減と品質向上に力を入れて、顧客の期待を超えるサービスを提供していきたいという。今後LED市場向けに超薄型製品を出していくとのことだ。
TAITRONICSには台湾以外にも日本、シンガポール、韓国、インドネシア、アイルランド、ウクライナ、ポーランド、香港、中国本土の企業ブースが地域ごとに集まって出展していた。中国を別にすれば国別出展社数では日本が十数社と一番多かった。日本のいくつかのブースでTAITRONICSの感想を聞いてみると「まあまあ反応はある」「具体的な仕事につながりそうな話もいくつかあった」「予想していたよりも来場者が少ないようだ」(筆者注:日本企業エリアは比較的に会場の端の方にあったせいもあるかもしれない)などといった答えが返ってきた。1日当たりおよそ1万人の来場者となっていたので、それほど大きな人数ではないが、一般の人が少なくバイヤーほか業界の人たちが訪れる展示会への出展としてはまずまずといったところだろうか。
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