図10を見る限り、GaN JFETに対する取り組みは各社とも技術開発段階と考えられます。
とはいえ、パナソニックは2007年に、ノーマリーオフ化とオン抵抗低減のトレードオフ解消手段として、ホール注入による伝導度変調効果を利用したGaNデバイス(GIT:Gate Injection Transistor)を公表*16)しています。従来、ショットキー接合のポテンシャル障壁により制御していたゲート部をpn接合に変え、高いポテンシャル障壁を実現しています。
*16) パナソニックの技術論文誌、パナソニック技報(PDF)。その他の論文としては、Y.Uemoto, et al: Gate Injection Transistor(GIT) ― A normally-off AlGaN/GaN power transistor using conductivity modulation IEEE Trans. Electron Devices 54,No.12,p.3393 (2007)
図11を見る限り、各社ともGaN BJTに対して今後どうするか、検討段階と考えられます。
GaNデバイスのノーマリーオフをpn接合で実現すると、p型GaNの特性により、GaNの高速スイッチング性が損なわれます。そこで、ロームはゲートの直下をエッチングで薄くして、空乏化させて、ノーマリーオフ動作させる手法に取り組んでいます(関連記事:LEDを一新した「GaN」、次は電力を変える)。
図12を見る限り、各社には今のところGaN IGBTを目指す動きはないようです。
図13から、三菱電機とパナソニックには、今後GaNコンバータ技術開発を推進する動きがあると考えられます。
例えば、パナソニックは、2011年11月に開催された「Embedded Technology 2011/組込み総合技術(ET2011)」で、GaNコンバータの新製品を発表しています(関連記事:次世代「UniPhier」からGaNデバイスまで、パナソニック製ICがずらり)。
図14を見る限り、各社のGaNモジュールに対する取り組みは今のところ研究段階と考えられます。
とはいえ、2012年7月に開催された「TECHNO-FRONTIER 2012(テクノフロンティア2012)」では、インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン(IRジャパン)がGaNモジュールを展示しており、今後の各社のGaNモジュールに対する動向が注目されます(関連記事:高耐圧もGaNで、IRジャパンが600VのGaN電源モジュールを展示)。
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