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「Lumia」には訴求力が足りない? Nokiaは黒字確保も、主力スマホの売れ筋はいま一つビジネスニュース オピニオン

赤字に苦しんできたNokiaが、7四半期ぶりに黒字を計上した。だが、主力のスマートフォンである「Lumia」シリーズの売り上げはいま一つのようだ。

» 2013年02月01日 11時34分 公開
[Peter Clarke,EE Times]

 筆者はNokiaの携帯電話の忠実なユーザーであり、欧州の出身者として、同社が黒字に転じたことをうれしく思っている。ただし、Nokiaの2012年第4四半期決算の細かい数字を読むと、かつて携帯電話市場をけん引していたメーカーを取り巻く状況はいまだ芳しくないことが分かる。特に、主力製品であるスマートフォン「Lumia」の状況はいま一つのようだ。

 ほぼ20年間、Nokiaは欧州の顧客向けに製品を出荷する代表的な企業であった。しかし、携帯電話機メーカーとしてナンバーワンだった同社は、瞬く間に失速したのである。

 Nokiaはここ数年、「iPhone」を展開するAppleや、Android携帯メーカーに打ち負かされてきた結果、方向性を失い、窮地に立たされてきた。だが、2012年第4四半期は、7四半期ぶりに業績を黒字化することに成功した。

 Nokiaの発表によれば、2012年第4四半期における純利益は2億200万ユーロ(約2億7000万米ドル)、収益は前年同期の100億ユーロ(約134億米ドル)から20%減少し、80億ユーロ(107億米ドル)だという。

 2012年第4四半期における端末の販売台数は、前年同期比では24%減、同年前期比では4%増となる8630万台だった。今回の成果には、Nokiaの通信インフラストラクチャ部門であるNokia Siemens Networksが大きく貢献している。業績結果をより詳しく見ると、2012年第4四半期におけるスマート機器(Smart Devices)の売上高は、前年同期の27億4700万ユーロから55%減の12億2500万ユーロであった。また販売台数は、前年同期は1960万台だったが、2012年第4四半期は660万台に落ち込んでいる。

 なお、Nokiaの決算報告によると、2012年第4四半期における携帯端末の出荷台数は1590万台で、その内訳は「Asha」が930万台、「Lumia」が440万台、「Symbian」が220万台としている。

 また同社は、Lumiaの出荷が部品の供給不足によって制限されており、その状況は2013年第1四半期も継続すると述べている。

Nokiaの「Lumia 920」

 Nokiaは、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ、コネクタのうち、どの部品の供給不足がLuminaの出荷に影響しているのかについては述べていない。市場ナンバーワンのメーカーであれば、その影響力を利用して大量の部品を発注することもできるだろうが、現在のNokiaの力ではそうもいかないようだ。部品のサプライヤは、「まずはAppleとSamsung Electronicsに出荷します。Nokiaはその後で」と言うことだろう。

 もう1つ感じるのは、Nokiaのユーザーには、「絶対にNokiaの携帯電話がいい」と考えているファンが少ないのかもしれない、ということだ。筆者は携帯電話の契約更新の時期が迫っているのだが、機種の変更をするつもりはない。ただし、「絶対にNokiaのLumiaでなければ嫌だ」というわけでもない。しょせん、スマートフォンは“グラフィカルな携帯電話機”である。

 このように、メーカーに忠実(ファンとも言えるだろう)ではない人間が、筆者1人ならば何ら問題はないだろう。しかし、そんな人間がNokiaのユーザーに何千万人もいるとしたら、それは同社にとって、ユーザーを失いかねない大問題である。洗練された最新機種を求めて、Samsungの「GALAXY SIII」などに簡単に鞍替えしてしまうからだ。

【翻訳:平塚弥生、編集:EE Times Japan】

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