STマイクロエレクトロニクスは「TECHNO-FRONTIER 2013」(テクノフロンティア2013、2013年7月17〜19日)で、MEMSデバイスの小型化で新たに実現できる新しいアプリケーションの提案を実施した。
STマイクロエレクトロニクス(以下、STマイクロ)は、MEMS技術を応用した加速度センサー、ジャイロセンサーといったモーションセンサーで「世界トップシェア」(同社)を誇る。そして現在、モーションセンサー以外に、MEMS技術で実現できるデバイス展開にも注力している(関連記事:「日本市場さえ見ていれば、戦略的マーケティングはいらない」――STのMEMS事業は日本を最重要視)。
TECHNO-FRONTIER 2013では、大気圧センサー、温湿度センサー、MEMSマイクを出品し、それぞれST独自のMEMS技術で、高精度と小型化を両立しこれまでにないMEMSデバイス応用が行える点を強調した。
大気圧センサー「LPS25H」は、これまで3mm角/高さ1mmサイズだったパッケージサイズを2.5mm角/高さ1mmサイズに小型化した。さらに、従来品では外付けで必要だったノイズ除去用フィルタや温度補正機能を搭載し、ワンチップで高精度の気圧センサーを実現する。気圧測定精度は0.1mbar(0〜60℃環境)。「20〜30cmという階段1段分程度の高さの変化を読み取れる高精度を実現できる」(説明員)とする。
STマイクロでは、この大気圧センサーに温湿度センサーを加えた「気圧+温湿度センサー」を2014年の出荷を目指し開発を進めているという。「スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器に搭載できるサイズであり、一部のスマホなどで搭載が始まっている温湿度センサーの内蔵化が一層進む見込み」とする。同時に、「高精度で気圧を検知できるためエアコンなどにも適している。ドアの開閉で微妙に変わる気圧を検知し、室温制御などに反映する機能を実現できる。温湿度センサーを集積できれば、エアコンのリモコン側で気圧、温湿度を測定するといった応用も可能になる」とした。
MEMSマイクでは、ヘッドフォンやイヤフォン向けに高性能なノイズキャンセリング機能を提案。MEMSマイク「MB33AB01」は、3.76×2.95×1.0mmサイズで、ヘッドフォンやイヤフォンに内蔵できる。
さらにヘッドフォンなどでは、片側に2個のMEMSマイクを搭載し、一方のマイクは一般的なノイズキャンセリングシステムと同様に外側に向け、周囲の環境音を拾う。もう1つのマイクは、耳側(内側)に向け、ヘッドフォンで耳を覆った時に生じる“音のこもり”をキャンセルする用途に使うことでよりクリアな音が楽しめるノイズキャンセリング機能が実現できる。同時に、ヘッドフォンを装着したまま人の声など環境音を聞きたい場合にも、外に向いたマイクで環境音を拾い、内向きのマイクで耳栓効果を解消させることで、あたかもヘッドフォンをしていないかのように明瞭な会話ができるという。
STマイクロでは、MEMSマイクとともに、ワンチップで各種ノイズキャンセリング処理が行えるアコースティックICを提供。さらに実装面積の小さいイヤフォンにもマイク2個とスピーカを簡単に実装できる小型モジュールも用意している。
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