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【NIWeek 2013】精子の運動解析から自転車の風洞実験まで、LabVIEWが可能にする新たな知見と効率性テスト/計測(1/2 ページ)

今年も「NIWeek 2013」に合わせて新バージョンが発表されたナショナルインスツルメンツ(NI)のシステム開発ソフトウェア「LabVIEW 2013」。新バージョンでは、リアルタイムLinuxをサポートできるようになった他、“使いやすさ”を重視した機能の強化も図られている。LabVIEW 2013の新機能や、LabVIEWが可能にした研究成果や生産効率向上についてリポートする。

» 2013年08月28日 16時02分 公開
[佐々木千之,EE Times Japan]

 2013年8月6〜8日(現地時間)にテキサス州オースチンで開かれたナショナルインスツルメンツ(NI)のテクニカルカンファレンス「NIWeek 2013」において、同社のシステム開発ソフトウェアの新バージョン「NI LabVIEW 2013」が発表された。NIWeekでLabVIEWの新版が発表されるのは、ここ数年の恒例となっている。

 初日の基調講演では、計測/制御用ハードウェアの新製品として、堅ろう性を強化した「NI CompactDAQ-9188XT」や、Xilinxの「Zynq」を搭載した「NI CompactRIO-9068」がお披露目されたが、講演会場に集まった3000人を超える参加者が最も注目したのは、全てのNIハードウェアをカバーし、ユーザーにとってフロントエンドとなるLabVIEWだろう。

LabVIEW 2013の新機能は“使いやすさ”を重視

 LabVIEW 2013の主な新機能は、以下の通り。

  • (cRIO-9068と併せて発表された)リアルタイムLinuxのサポート
  • マルチデバイス対応となるData Dashboard 2.2サポート
  • デバッグツールにおけるコメント管理機能
  • LabVIEW Tools NetworkへのアクセスなどWebサービスサポートの強化
  • 数千に及ぶサンプルプログラムのアップデート

 これら新機能の中で、一見地味ながら多くの開発者たちの支持を得たと感じたのがコメントの管理機能だ。LabVIEWはグラフィカルな開発ツール故に他人が作成したプログラムを“読む”のが難しい面があり、コメントを付けて他人にも“読みやすく”していたという。ただ従来のコメント機能は、そのコメントが指示しているノードやダイヤグラムなどのオブジェクトの配置を変更した場合に追従しないため、使い勝手に難があった。

 LabVIEW 2013では、オブジェクトの配置が変わるとコメントも適切な位置に配置し直す。またコメントを「目次」として一覧でき、コメントをクリックするだけでプログラムの該当部分にジャンプできるようになった。

LabVIEW 2013のコメント機能 「LabVIEW 2013」のコメント機能デモ画面。左下に見える「#1 Bookmark」や中央上に見える「#3 XLSX_Integration」などがコメントである(クリックで拡大)

 基調講演ではコメント機能の他、Appleの「iPad」を使ったData Dashboardのデモも見せた。NIではこうしたモバイルデバイス向けのダッシュボード機能開発に対してかなり投資しているのだという。2013年の春にリリースされたData Dashboard for iOSを使い、Wi-Fi経由で、円盤に乗ったLEDでロゴを表示するハードウェアシステムをコントロールするというもの。ハードウェア側にはCompactRIO(cRIO)が載っていて、Data Dashboard for iOSから、プルダウンメニューを使って収集/表示するデータを変えたり、制御パラメーターを変更したりできる。iPadで作成したDashboardプログラムをメールに添付して送信し、Androidタブレット端末で受信してそのまま開くだけでiPadと同様にDashboardが動作するという、開発中の機能のデモも披露した。同機能は、2013年末までに正式にリリースする予定だとしている。

左はData Dashboard for iOSの操作画面。プルダウンメニューで変数を変更しているところである。右は、Android版Data Dashboardの画面(開発中のもの)。iPadで作成したDashboardの実行ファイルをメールで受け取って開くだけで、同じように動作する(クリックで拡大)

 NIはLabVIEWでサードパーティが開発したアプリケーションを配布/販売するLabVIEW Tools Networkを1年ほど前に開設してるが、そこからのダウンロード数は既に200万に達しているという。

Wirebird Labのアプリケーション配布アプリ「Deploy」である(画像中、左上が配布する側、右下は配布を受けるユーザー側)。LabVIEWで作成したアプリケーションを配布する際には、いくつかの手動のステップを含む多くのツールを使わなければならない。しかし“LabVIEW Add-Ons of the Year”を受賞したWirebird Labsの「Deploy」を使えば、シングルクリックでアプリケーションをビルドして新しいインストーラを作成し、それをWebやイントラネットを通じて顧客に届けられる。DeployはEXEをビルドするだけでなくアプリケーションのWebページ(リリースノート)も自動的に作成する。LabVIEW 2013のオートアップデートAPIを使い、ユーザー側はソフトのアップデートを自動的に検知して、そのままアップデートさせることもできる。このDeploy自身もLabVIEWで作成されたものだ(クリックで拡大)
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