今年も「NIWeek 2013」に合わせて新バージョンが発表されたナショナルインスツルメンツ(NI)のシステム開発ソフトウェア「LabVIEW 2013」。新バージョンでは、リアルタイムLinuxをサポートできるようになった他、“使いやすさ”を重視した機能の強化も図られている。LabVIEW 2013の新機能や、LabVIEWが可能にした研究成果や生産効率向上についてリポートする。
2013年8月6〜8日(現地時間)にテキサス州オースチンで開かれたナショナルインスツルメンツ(NI)のテクニカルカンファレンス「NIWeek 2013」において、同社のシステム開発ソフトウェアの新バージョン「NI LabVIEW 2013」が発表された。NIWeekでLabVIEWの新版が発表されるのは、ここ数年の恒例となっている。
初日の基調講演では、計測/制御用ハードウェアの新製品として、堅ろう性を強化した「NI CompactDAQ-9188XT」や、Xilinxの「Zynq」を搭載した「NI CompactRIO-9068」がお披露目されたが、講演会場に集まった3000人を超える参加者が最も注目したのは、全てのNIハードウェアをカバーし、ユーザーにとってフロントエンドとなるLabVIEWだろう。
LabVIEW 2013の主な新機能は、以下の通り。
これら新機能の中で、一見地味ながら多くの開発者たちの支持を得たと感じたのがコメントの管理機能だ。LabVIEWはグラフィカルな開発ツール故に他人が作成したプログラムを“読む”のが難しい面があり、コメントを付けて他人にも“読みやすく”していたという。ただ従来のコメント機能は、そのコメントが指示しているノードやダイヤグラムなどのオブジェクトの配置を変更した場合に追従しないため、使い勝手に難があった。
LabVIEW 2013では、オブジェクトの配置が変わるとコメントも適切な位置に配置し直す。またコメントを「目次」として一覧でき、コメントをクリックするだけでプログラムの該当部分にジャンプできるようになった。
基調講演ではコメント機能の他、Appleの「iPad」を使ったData Dashboardのデモも見せた。NIではこうしたモバイルデバイス向けのダッシュボード機能開発に対してかなり投資しているのだという。2013年の春にリリースされたData Dashboard for iOSを使い、Wi-Fi経由で、円盤に乗ったLEDでロゴを表示するハードウェアシステムをコントロールするというもの。ハードウェア側にはCompactRIO(cRIO)が載っていて、Data Dashboard for iOSから、プルダウンメニューを使って収集/表示するデータを変えたり、制御パラメーターを変更したりできる。iPadで作成したDashboardプログラムをメールに添付して送信し、Androidタブレット端末で受信してそのまま開くだけでiPadと同様にDashboardが動作するという、開発中の機能のデモも披露した。同機能は、2013年末までに正式にリリースする予定だとしている。
NIはLabVIEWでサードパーティが開発したアプリケーションを配布/販売するLabVIEW Tools Networkを1年ほど前に開設してるが、そこからのダウンロード数は既に200万に達しているという。
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