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【NIWeek 2013】ハンマーでたたいても大丈夫!? 500gの衝撃にも耐えるデータ集録機器テスト/計測

National Instruments(NI)のテクニカルカンファレンス/展示会「NIWeek 2013」では、「LabVIEW 2013」とともにいくつかの新製品が発表された。その1つが、データ集録用機器の「NI cDAQ-9188XT」である。広い動作温度と耐振動性、耐衝撃性を備え、エンジニアや科学者の要求に応える製品だ。コンクリート詰めにした同製品をハンマーでたたき割る衝撃を計測するというデモまで披露した。

» 2013年08月09日 17時15分 公開
[佐々木千之,EE Times Japan]

 米国テキサス州オースチンで開催された「NIWeek 2013」(2013年8月5〜9日)。初日の基調講演で、グラフィカル開発環境「LabVIEW 2013」の次に強烈なデモンストレーションを交えて紹介された製品がデータ集録用機器(DAQ)の新機種である「NI cDAQ-9188XT」だ。cDAQ-9188XTのシャーシ(筐体)はイーサネットに対応し、従来製品よりも広い動作温度(−40〜70℃)、耐振動性能(5g)、耐衝撃性能(50g)を備えている。用途は自動車、建築構造物、航空宇宙、プラントなどを想定しており、日本では特に自動車と、ビルなどの地震動の影響監視といった分野に需要が高いとみている。

 基調講演中に行われたデモは、cDAQ-9188XTを入れた箱状のコンクリートブロックを、ハンマーでたたき壊すというもの。cDAQ-9188XT本体とコンクリートブロック、ハンマーには衝撃センサーが取り付けられていて、ブロックをたたき壊したときに受けた衝撃を測定できるようになっている。測定結果は、即座に「iPad」のディスプレイに表示された*)。本体に加えられた衝撃(最大値)は設計値を大幅に上回る511gに達したが、データはその後もきちんと送られていた。

*)iPadからクラウド経由で測定データにアクセスできる専用アプリ「Data Dashboard for LabVIEW」を使用している。

「cDAQ-9188XT」と、ばらばらに破壊されたコンクリートブロックの破片、およびハンマー。それぞれにセンサーのケーブルが伸びている (クリックで拡大)
衝撃のグラフと測定値は直ちに表示された。それによるとハンマーの衝撃最大値は554.8g、コンクリートに加えられた衝撃最大値は3409g、cDAQ-9188XT本体に加えられた衝撃は511.4gだった (クリックで拡大)

 cDAQ-9188XTが狙うのは非常に過酷な環境下での計測だ。基調講演でcDAQ-9188XTについて説明したNational Instruments Director of Data Acquisition Product MarketingのChad Chesney氏によれば、エンジニアや科学者は少しでも正確なデータを取ろうとして物理現象が発生しているその近くに計測システムを配置しようとする傾向があり、この製品はそれに応えたものだという。

National Instruments Director of Data Acquisition Product MarketingのChad Chesney氏

 そうした過酷な環境下での計測アプリケーションの例として、基調講演でもう1つ紹介されたのが“地上最速のクルマ”を目指すNorth American Eagleの例だ。North American Eagleは米空軍から払い下げられた「ロッキード F-104A Starfighter」から主翼、水平尾翼を取り去り車輪を付けた“ジェットカー”で、現世界記録の時速763マイル(時速1228キロ)を超え、時速800マイル(時速1287キロ)の達成を狙うべくテストを繰り返している。

 このF-104A改造車にはcDAQ-9188XTが積み込まれていて、各部の振動、ゆがみ、油圧、動圧、ステアリングデータを計測して状態を把握するとともに、集録したデータをシミュレーション結果と比較するなどしてフィードバックに利用している。速度のテストが行われる砂漠は、高温、高振動、高塵埃(じんあい)と、動力のジェットエンジンにさえ厳しい環境だ。以前は別の計測器を使用していたが、過酷な条件に耐えられず走行中に計測できなくなってしまい、cDAQ-9188XTを採用したという。

“ジェットカー”は、文字通りジェット戦闘機から翼を取り去ったクルマだ(左)。cDAQ-9188XTは、コクピットの後ろのスペースに積み込まれている (クリックで拡大)

 cDAQ-9188XTにはイーサネットインタフェースの搭載に合わせて「ウォッチドッグ機能」も装備されている。ネットワークを監視し、正常な通信ができなくなった場合にはトリガーとなる信号を出して、計測システムを安全のためにシャットダウンするといったことが可能だ。

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