ワイヤレス機器の量産ライン向け試験装置を手掛ける米国のLitePoint(ライトポイント)は、ワイヤレス機器を最大4台まで並列に接続し、さまざまな無線規格に対応した物理層のテストを同時に行えるテスター「IQxel-M」を発表した。同社は「ワイヤレス機器を1台ごと測定する競合製品と比べて、5倍の測定スループットを実現できる」という。
ワイヤレス機器の量産ライン向け試験装置を手掛ける米国のLitePoint(ライトポイント)は2013年10月22日、ワイヤレス機器を最大4台まで並列に接続し、さまざまな無線規格に対応した物理層のテストを同時に行えるテスター「IQxel-M」を発表した。同社は「ワイヤレス機器を1台ごと測定する競合製品と比べて、5倍の測定スループットを実現できる」と主張する。主要各社の無線通信用チップセットに対応したテストソフトウェアも用意されており、試験のためのセットアップ時間を大幅に短縮することが可能だ。
IQxel-Mは、ワイヤレス機器の送信パワーや受信感度といった物理層のテストを、従来製品に比べて2倍のスピードで実行するため、1台当たりの測定時間を半分とした。その上、従来品では非測定物を1台ずつしか計測できなかったが、新製品では最大4台まで接続して同時にテストすることができる。こうした高いテスト効率は、あらゆる通信規格に最適化された「Packet Engine」などによって実現したという。
LitePointの共同創業者でCEO(最高経営責任者)を務めるBenny Madsen氏は、「スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスは、2013年に全世界で15億台が出荷されるなど、大量に生産されている。その上、PCよりも技術が複雑でネットワーク環境も多様性に富んでいる。製品戦略上も、従来に比べて大量の製品を、より短期間で出荷する必要がある」と話す。こうした市場の動きに対応して、IQxel-Mは測定の効率アップを目指し、スループットを大幅に改善した。
IQxel-Mは、新たなワイヤレス通信規格にも対応している。Wi-Fi通信では現行の規格に加えて、テストの帯域幅を広げることで「802.11ac」も新たにカバーした。ナビゲーション規格では、「GPS」や「GLONASS」、「Compass」、「Galileo」に加え、日本の「QZSS」を追加した。さらに、「Bluetooth/Bluetooth LE」、「ISDB-T」などの無線規格もサポートした。
同社のもう1つの特長は、テストソフトウェア「IQfact」として200種類を超えるチップセットに対応するライブラリを用意していることだ。同ソフトウェアがない場合はユーザーが独自に開発しなければならず、セッティングなども含めて量産ラインで試験を開始するまでに数週間を要していた。LitePointでマーケティング担当の副社長を務めるCurtis Schmidek氏は、「IQfactとIQxel-Mを組み合わせて使えば、製造スループットの高速化と、最適化されたキャリブレーションおよび検証手法を手に入れることができる。合わせて、テスト項目の設定などが数日で行えるため、コスト削減にもつながる」という。
IQxel-Mの価格は付属のオプションなどによって異なるが、Wi-Fi規格とBluetooth規格をサポートする基本的な構成で500万円より。
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