産業技術総合研究所と日本プラスチック工業連盟は、両者が開発した「樹脂と金属の接合界面の特性評価試験方法」が、国際規格「ISO19095シリーズ」として発行されることになったと発表した。
産業技術総合研究所(以下、産総研)と日本プラスチック工業連盟は2015年7月、国際標準化機構(ISO)に提案していた樹脂と金属の接合界面の特性評価試験方法が、国際規格「ISO19095シリーズ」として発行されることになったと発表した。発行予定日は2015年7月15日。
ISO規格化されることになった同試験方法は、樹脂と金属を強固に接合する革新的技術の接合強度や耐久性などを定量的かつ客観的に評価できるようになるもの。高剛性で熱伝導性は高いが重いという金属の特性と、軽く形状の自由度が高い樹脂の特性を補完し合う異種材料複合体は、電子部品や自動車部品などでの応用が進みつつある。
金属と樹脂の接合は一般に、アルミなどの金属の表面にナノメートル単位の穴を開け、金型内でポリアミドやポリプロピレンなどの樹脂を直接接合して、金属と樹脂を一体化する方法が用いられる。しかし、これまでは、接合特性や耐久性の評価方法が確立されておらず、金属−樹脂接合技術の普及の妨げとなっていた。
そこで、産総研と日本プラスチック工業連盟は、経済産業省からの委託を受けて、2012年10月から樹脂−金属異種材料複合体の特性評価試験方法の研究開発を実施。2013年4月に規格原案をまとめ、ISOへ提案していた。
規格化される評価方法は、従来のせん断接着強度を測定する方法の評価規格「ISO4586」などでは対応できなかった強い接合強度が得られる新たな接合技術に対応するもの。ISO4586などでは、接合部よりも、先に樹脂自体が破断し、接合部の定量的評価が行えなかった。それに対し、新規格は、樹脂部分の破壊を防ぐための試験片形状の最適化や補助治具を使用。樹脂の破断なく、接合界面の強度を測定することができるようにした。
産総研では、今回発行される規格の有効性を実証するため、さまざまな樹脂−金属の組合せやさまざまな接合方法による接合特性データを集積すると同時に、接合メカニズムの解明を行う予定としている。加えて産総研と日本プラスチック工業連盟は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と金属の接合特性に関する新たな規格の提案を検討しているという。
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