「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」(2013年11月20〜22日、パシフィコ横浜)では、東北に拠点を置く組み込み関連企業が展示を行う“TOHOKUモノづくりコリドー”が設置された。自転車の車輪とスマートフォンを連動させて新しい広告スタイルを提案する企業や、ペアリングが不要のBluetoothを利用した位置情報サービスのデモを展示する企業などが集結した。
ソフトウェア開発を手掛けるEyes, JAPAN(福島県会津若松市)は、レンタサイクル用の自転車を利用して広告を打ったり、環境データを蓄積したりするシステム「FUKUSHIMA Wheel」のデモを行った。
FUKUSHIMA Wheel用の自転車には、128個のLEDと通信用IC、コントローラICから成る機器が後輪に、各種センサーを搭載した小型の計測器がサドルの下の部分に取り付けられている。
レンタサイクルの利用者は、まず手持ちのスマートフォンに専用のアプリをダウンロードする。そのアプリを起動して自転車をこぐと、スマートフォンと後輪の機器がWi-Fiで連携し、広告用の画像やアニメーションがスマートフォンから送信され、広告が車輪上に表示される仕組みだ。
サドルの下に取り付けた計測器は、放射線のデータの収集や共有を手掛ける団体Safecast*)が開発した。放射線センサー、窒素化合物センサー、温度センサー、騒音センサーなどを搭載していて、自転車が走っている最中に周囲の環境データを収集し、利用者のスマートフォンを介してクラウド上にアップする。Eyes, JAPANの担当者は、「レンタサイクルを使えば、広い範囲のデータを数多く集めることができる。特に福島県にとって放射線のデータは非常に重要だ。FUKUSHIMA Wheelを通して、放射線データを含む環境データを集め、ビッグデータとして市町村が利用できるようにしたい」と述べる。
*)Safecastは、米国に拠点を置く団体だが、現在は日本での活動に重点を置いている。
FUKUSHIMA Wheelは、復興庁の「平成25年度 企業連携プロジェクト支援事業」に採択された事業で、2014年4月からサービスを開始する予定だという(関連記事:それは車輪の再発明――希望の輝きを放つ自転車、「FUKUSHIMA Wheel」が描く未来)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.