ルネサス エレクトロニクスは、産業用イーサネットに対応する機器の開発を支援する目的で「R-IN(Renesas’s Platform for Industry)コンソーシアム」を設立することを明らかにした。2015年4月より活動を始める。
ルネサス エレクトロニクスは2014年9月2日、産業用イーサネットに対応する機器の開発を支援する目的で「R-IN(Renesas’s Platform for Industry)コンソーシアム」を設立することを明らかにした。2015年4月より活動を始める予定だ。立ち上げ時には全世界で100社/団体の参加を見込んでいる。これらの活動により、「R-INエンジン」搭載の産業分野向け通信LSI事業で、2019年には80億円規模の売上高を狙う。
同社が産業イーサネット通信用LSIとして販売している「R-IN32M3シリーズ」は、ARM Cortex-M3プロセッサコアと、ハードウェア化したリアルタイムOS(HW-RTOS)と、イーサネットアクセラレータを一体化した「R-INエンジン」をベースに、イーサネットコントローラやメモリ、CANやUARTといったインタフェース、汎用I/Oなどを1チップに集積している。
R-IN32M3シリーズは、2013年4月より供給を始めた。対応するイーサネット通信規格の違いによって「R-IN32M3-EC」や「R-IN32M3-CL」を用意している。「全世界で50社を超えるシステムメーカーへの採用が既に決まっており、各社が製品の評価を行っているところである」(同社)。また、「R-IN32M3シリーズ」のソフトウェア開発環境、評価ボード、プロトコルスタックなどのソフトウェアコンポーネントを提供するパートナー数は、日本企業を中心に約50社に上る。コンソーシアム設立時のメンバー数は、これらのパートナーを含めて、当面は100社の参加を目指している。
これまでに、CC-Link協会、IARシステムズ、三菱電機エンジニアリング、横河ディジタルコンピュータなど20社/団体が、同コンソーシアムへの参加を表明しているという。また、「EtherCAT Technology Group日本オフィスからも新コンソーシアムの設立について賛同および推奨をもらっている」(ルネサス)とする。
【おしらせ】ルネサス エレクトロニクスがR-INコンソーシアムへの参加表明企業に関する発表内容を訂正(訂正内容)したため、該当する記述を変更しました(2014年9月17日)
R-IN32M3シリーズは、HW-RTOSによりプロトコル処理以外をハードウェア化したことで、プロセッサコアの負荷を大幅に削減できることや、「EtherCAT」、「CC-Link IE」、「EtherNet/IP」、「PROFINET」など、さまざまな産業イーサネット通信規格のインタフェースにワンチップで対応できるのが大きな特長である。
同社の調べによると、R-IN32M3-ECは標準イーサネット(UDP/IP)性能が95Mビット/秒の場合で、CPUの負荷は26〜32%程度にとどまる。同等のARMコアを搭載した一般的な他社製マイコンだと、UDP/IP通信性能が46〜67Mビット/秒の場合に、CPUの負荷は100%になるという。このことから、タスク数が増加するような用途にR-IN32M3-ECは有利となる。例えば、別のモータ制御や接続するセンサー数の拡大、セキュリティ機能の強化などに、CPUの余力を振り向けることができるという。
R-IN32M3シリーズがターゲットとする産業分野としては、「ファクトリオートメーション/プロセスオートメーション(FA/PA)」、スマートグリッドなどの「エネルギー」、「ヒューマノイドロボット」、「空港や駅の施設」、「ビルオートメーション」などを挙げる。この中で同社は、「最初に取り組む分野はFA/PA市場」と話す。
今後の製品展開として、モータ制御機能を強化したり、消費電力をさらに小さくしたりするために、「Cortex-M3以外のプロセッサコアを搭載した製品開発も検討していく予定である」(同社)という。
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