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TSMCが設備投資額を100億ドルに拡大、16nm FinFET量産準備でApple「iPad」向け「A8X」を受注したから!?(1/2 ページ)

TSMCは、16nm FinFETプロセスチップの実用化に向け、2015年の設備投資を100億米ドル以上に増額する予定だという。2016年には10nmプロセスの実用化も予定している。

» 2014年10月21日 16時50分 公開
[Alan PattersonEE Times]

 TSMCは2014年10月16日、2015年の設備投資額を100億米ドル以上に増額する予定であると発表した。16nm FinFETプロセスを適用したチップの実用化に向け、生産を加速させていきたい考えだ。

 TSMCのCo-CEO(共同最高経営責任者)であるC. C. Wei氏は、2014年第3四半期の決算を発表する投資家向け会議において、「現在のところ、当初の予定よりも順調な進捗状況にある。16nmプロセスでは、これまでTSMCが採用してきたどの世代のプロセス技術よりも成熟した、素晴らしい技術を実現することができる」と述べている。

 TSMCでCFO(最高財務責任者)を務めるLora Ho氏は、決算発表の会場において、「当社の設備投資額については、2014年には96億米ドルだったが、2015年にはさらに増額する予定だ」と述べた。TSMCは現在、Samsung Electronicsとの間で激しい競争を繰り広げている。両社とも、エレクトロニクス業界の中でも特に成長が著しいスマートフォン/タブレット端末市場に向けたFinFETプロセス適用チップの受注を、ApppleやQualcommから獲得しようと狙っているためだ。米国の市場調査会社であるIC Insightsによると、2014年の世界半導体チップ市場における設備投資額ランキングでは、第1位がSamsungの115億米ドル、第2位がIntelの110億米ドルだが、TSMCはそれに続く第3位の座を獲得する見込みだという(関連記事:2014年の設備投資予測、サムスンとインテルが110億ドル超に)。

 台湾のDigiTimesが2014年10月15日に報じたところによると、TSMCは、Appleの「iPad」向けプロセッサ「A8X」の製造契約を勝ち取ったことにより、SamsungとAppleのサプライヤ関係を浸食しつつあるという。

純利益の急増

 TSMCによると、同社の利益は、2013年第3四半期には520億ニュー台湾ドルだったが、2014年第3四半期にはその46.9%増となる763億ニュー台湾ドル(25億米ドル)にまで増大したという。

 Wei氏によれば、TSMCは、16nm FinFETプロセス適用チップの生産スケジュールを、2015年第2四半期または第3四半期初めに前倒しする予定だという。

 野村證券でアナリストを務めるRick Hsu氏は、決算報告会議が終わった後で、「TSMCの16nm FinFETプロセスに関するプログラムは、極めて順調に進んでいるようだ。このため同社は、当初の予定を1四半期ほど前倒しするとみられる」と述べている。

 Wei氏は、「TSMCは2015年末までに、60種類の16nmプロセス適用チップをテープアウト(設計完了)する予定だ。2015年も引き続き、シェアを力強く拡大できるとみている」と述べる。

 TSMCのチェアマンであるMorris Chang氏は2014年7月の時点で、「2015年の16nm FinFETプロセス適用チップの分野において、TSMCが獲得できる市場シェアは、主要な競合企業と比べて少なくなるだろう」と予測していた。しかし、Wei氏の今回のコメントから、TSMCが先行きを極めて楽観視していることが分かる。

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