IHSの予測によると、ウェアラブル機器向けセンサー市場は成長の一途をたどり、2019年には出荷数が4億6600万個に達する見込みだという。また、「Apple Watch」がデファクトスタンダード(事実上の標準)となり、これに倣ったスマートウオッチが多く登場するとも見込んでいる。
米国の市場調査会社であるIHSは、Appleのスマートウオッチ「Apple Watch」が今後、ウェアラブル機器のフィットネス/ヘルスモニタリング機能の向上を促し、デファクトスタンダード(事実上の標準)を確立していく」と見ているようだ(関連記事:Apple Watchを考える――4つの好ましい点、3つの気になる点)。
IHSによれば、2015年のウェアラブル機器向けセンサー市場は、出荷数量が2倍に増大する見込みだという。このためIHSは、同市場のリーダー企業であるSTMicroelectronicsが大きな利益を享受するとみている。
IHSによると、ウェアラブル機器に対するユーザー需要が堅調であることから、ウェアラブル機器向けセンサーの出荷数量は、2013〜2019年の間に7倍に増大する見込みだという。2013年のセンサー出荷数量は6700万個だが、2014年には約8500万個に増加するとみられる。さらに、2015年にはその約2倍となる1億7500万個に達し、その後も増加の一途をたどって、2019年には4億6600万個に達する見込みだという。
センサーは、機器1台当たりに複数搭載されるため、ウェアラブル機器向けセンサー市場の方が、ウェアブル機器市場よりも成長速度が速い。IHSの予測では、ウェアラブル機器の出荷台数は、2013年には5000万台だったが、2019年には1億3500万台に達する見込みだという。ウェアラブル機器に搭載されるセンサーの個数は、2013年には平均1.4個だったが、2019年には同4.1個に増加する見込みだ。
IHSの予測では、これまで携帯電話機で採用されてきた湿度センサーや心拍センサーなどの部品は、今後、Samsung ElectronicsやAppleなどのメーカー各社が発表したスマートウオッチなどのウェアラブル機器に、より多く搭載されるようになる見込みだという。このため、ウェアラブル機器向けセンサーの出荷数量がさらに増大するとみられる。
Apple Watchは、加速度センサーの他、ジャイロスコープ(角速度センサー)やマイクロフォン、心拍センサーなども搭載している。ウェアラブル機器向けセンサー市場の成長に大きく寄与するとみられている。
IHS TechnologyのMEMSおよびセンサー部門でシニア主席アナリストを務めるJeremie Bouchaud氏は、発表資料の中で、「Apple Watchは、『iPhone』や『iPad』の時と同様に、スマートウオッチ向けセンサーのデファクトスタンダードを確立することになるだろう。他のウェアラブル機器メーカーも、多くがAppleのリードに倣って4つのセンサー部品を採用するだろう。または、差異化を狙ってさらに多くのセンサーを搭載する可能性もある」と述べている。
STMicroelectronicsは、ウェアラブル機器向けMEMSセンサー市場において圧倒的な優位に立つトップサプライヤだ。同社は、売上高のシェアを2012年の20%から、2013年には26%に拡大したことにより、リーダー企業としての位置付けを確固たるものにしている。
STMicroelectronicsがウェアラブル機器向けセンサー市場で成功を収められた要因としては、ディスクリートの加速度センサー市場においてリーダーシップを確立できたことや、強力なバンドリング戦略を実行したことなどが挙げられる。
ウェアラブル機器に搭載されるセンサーとしては、MEMSモーションセンサー、環境センサー、ヘルスモニタリング向けセンサーなどがある。モーションセンサーの代表格である加速度センサー、ジャイロセンサー、気圧センサーなどは、多くのウェアラブル機器に欠かせないものとなっている。「環境センサーには、温湿度センサー、UV(紫外線)センサーなどがあるが、これらはユーザーからニーズがあるというよりも、センサーメーカーやウェアラブル機器メーカーが搭載したがっているという印象が強い」(Bouchaud氏)。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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