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» 2014年11月28日 15時30分 公開

ノーベル賞の天野氏、GaNパワー半導体研究へ抱負NEDOがパワエレシンポジウム(2/2 ページ)

[竹本達哉,EE Times Japan]
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天野氏「GaNはパワーデバイスとしても非常に期待高い」

 SIPでより本格的な開発に着手することになったGaNを用いたパワーデバイス開発には、青色LEDの研究でノーベル物理学賞を受賞した名古屋大教授の天野氏が参加している。

 会見で天野氏は、「窒化物は、まだまだパワーデバイスとしては分からないことが多く、ウエハー結晶などで問題を抱えている。そうした中で、私は、エピタキシャル成長の部分の開発で協力する」という。

会見する天野氏

 また天野氏は、「今後、直流送電が行われる可能性があるなど、直流で動く機器は非常に多くなっていて、DC-DCコンバータの利用が拡大している。(DC-DCコンバータを使用する機会の多い)情報処理で消費する国内電力量は、2022年には、2007年当時の国内年間総発電量に匹敵する規模に至るという見積もりがあり、消費電力を抑える解を見いださなくてはならず、その解の基盤となる技術の1つがGaNだと考えている。GaNはSiや窒化ガリウム(GaAs)に比べてパワーデバイスとしての性能が優れ、高温環境に対応し、絶縁破壊電界も非常に大きく、電流もたくさん流せる。加えて、RFとしても非常に高い周波数まで動作が可能で、ノイズの発生も非常に少なく、パワーデバイスとしても高周波デバイスとしても非常に期待の高い材料」と、LED以外でのGaN応用への期待を語った。

10kV上回る動作も可能

会見で天野氏が示したGaNデバイスの性能予測 (クリックで拡大)

 これからの研究開発の方向性について天野氏は「GaNは、横型構造のデバイスでも、縦型構造のデバイスでも理論的には、非常に優れた性能を実現できる。特に横型のデバイスに関しては、非常に開発が進んでいるが、縦型のデバイスについては、まだまだこれから開発していかなければならない。縦型は、LEDで培った技術がそのまま応用できる。例えば、ナノワイヤー構造にP型を埋めれば、SiのIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)と非常に似た構造を作ることができ、10kVとか100kV程度まで動作できるデバイスが計算上は実現できる。そうしたデバイスを実現するにはまだまだGaN結晶/基板の品質を上げることが必要があり、開発に取り組む。特にエピタキシャル成長法が、現在の方法では純度に限界があり、高純度化していきたい。またデバイスを動かす際に厄介なことが存在し、意図しない準位ができてしまうので、準位をいかにコントロールしてデバイスを実現するかが、われわれに課せられた課題だ」とした。

天野氏が示した縦型構造GaNデバイス製造の課題 (クリックで拡大)

 またシリコン基板上にGaN結晶を作る「GaN on Si技術」ついて問われた天野氏は「成熟した技術になってきているが、(サファイア基板上にGaNを形成した場合に比べ)まだ性能は劣る他、思ったより低コスト化できていない。大学では、性能向上、低コスト化を目指したGaN on Si技術の研究開発を進める。ただ、今回の(SIPでの)プロジェクトは、GaN基板で商品に結び付くかどうかの開発が大きなテーマ」とし、GaN基板を用いた縦型構造のパワーデバイス実現に向けて意欲を示した。

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