TSMCが、ASMLにEUV(極端紫外線)露光装置2台を発注していたことが明らかになった。TSMCは、EUVリソグラフィによって7nmプロセスの実現を目指すとみられている。2015年末には7nmプロセスを適用したチップのリスク生産が開始される可能性がある。
欧州最大手の半導体製造装置メーカーであるASMLは、TSMCからEUV(極端紫外線)露光装置2台を受注し、2015年に納入予定であることを明らかにした。TSMCは、現在のプロセス技術開発の限界を超えて、7nmプロセスの実現を目指していくようだ。
ASMLでエグゼクティブバイスプレジデントを務めるFrits van Hout氏は、TSMCが2014年12月4日に開催したイベント「第14回サプライチェーンマネジメントフォーラム(Suppy Chain Management Forum)」においてインタビューに応じ、「EUV露光装置は、10nmプロセス技術向けの装置である。TSMCは、7nmプロセスでの製造実現に向けて準備を進める上で、EUV露光装置を利用するつもりだろう」と述べた。
TSMCの広報担当者であるElizabeth Sun氏は、この件についてコメントを拒否している。
EUV技術への移行は、次世代リソグラフィ装置に対するこれまでの考え方が変化しつつあることを示唆しているのではないだろうか。以前の予測では、半導体メーカー各社が10nmプロセスチップの製造に用いるのは、開発が大幅に遅れていたEUV装置ではなく、従来型の液浸リソグラフィ装置だと考えられていた。
ASMLは2014年11月24日、TSMCから量産用のEUV露光装置「NXE:3350B」2台を受注し、2015年に納入予定であることを発表した。さらに、既にTSMCに納入済みのEUV露光装置「NXE:3300B」2台についても、NXE:3350B相当の性能にアップグレードする予定だという。
Intelは2014年初めに、「EUV装置を使わずに、ムーアの法則に従って7nmプロセスを実現することが可能な手法の開発にメドがついた」と発表している。
それでもASMLは、「微細化は、EUV技術を採用する方向に向かっている」と主張する。
van Houts氏は、「ただ、EUV技術が十分成熟し、製造に適用できるようになる時期については不明だ。先発を切ったのはTSMCだが、いずれ、物理法則は世界中どこでもほとんど同じであるということに誰もが気付くだろう。それぞれに適した時期が来れば、同じ結論に至るのではないだろうか」と述べている。
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