IoT同様、ウェアラブル機器も外せない注目技術の1つだ。2015年は、どのように差別化が図られていくのかに着目したい。これまでは、「何かをセンシングして、そのデータをスマートフォンに無線で送れますよ」ということをうたうばかりだったが、今後はファッション性なども追求すると見られている。2015年3月には「Apple Watch」が発売されるとみられていて、スマートウオッチ市場の成長が予想される。
デザインの自由度を高めるためには、センサーや通信チップの小型化が必要不可欠になる。エレクトロニクス技術の展示会では、ウェアラブル機器向けの超小型モジュールなどが、今年も数多く展示されそうだ。
ウェアラブル機器の普及拡大が見込まれる中、より重要な技術となりそうなのが、給電技術だ。ウェアラブル機器は、身に付けるが故に、小型、軽量が求められ、電池サイズも必然的に小さくなる。そのため、充電頻度も多くなり、“電池駆動時間の短さ”がスマートウオッチなどの普及を妨げる恐れがある。
そうした欠点をカバーする技術として、より簡単に短時間に充電できる給電技術の登場が期待される。ウェアラブル機器に限らず、スマートフォンやタブレットPCなどモバイル機器でも、簡単な急速充電へのニーズは高く、新たな給電技術に注目が集まる。
新たな給電技術として、最も期待されるのは既に一部スマートフォンなどで実用化されつつある非接触型の無線給電技術だ。ケーブル接続なしに充電台に置くだけで、充電が行える利便性がある一方で、現状は、給電能力が5W程度と小さいことが1つの課題。またウェアラブル機器などへの応用には受電コイルの小型化なども必須で、より高密度で給電できる技術の開発が進む見込みだ。またもう1つの課題としては、無線給電規格の乱立がある。Wireless Power Consortium(WPA)が推進する「Qi」やThe Alliance for Wireless Power(A4WP)の「rezence」など、複数の規格仕様が存在している点も普及妨げの一因となっている。その中で、2015年に入り、A4WPとPower Matters Alliance(PMA)の2団体が合併することで合意。磁界共鳴式と電磁誘導式と異なる給電技術方式採用する両団体が合併し、どのような標準規格を打ち出すか注目される。
もう1つ2015年に注目を集める給電技術として、USB給電がある。このほど策定された最新USB規格「USB 3.1」は、給電能力を従来の最大9Wから最大100Wまで大幅に強化するUSB PD(Power Delivery)が含まれた仕様で、USB経由でより急速なモバイル機器の充電が行えるようになる。さらに、ディスプレイなどの周辺機器などもUSBケーブル1本で動作できるようになるため、機器への給電方法が大きく変わる可能性も秘めている。なお、USB 3.1に対応した機器は、2015年春ごろから市販される見込みだ。
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