世界的に省エネ化の機運が高まっている中で、省エネ化のカギを握るデバイスとして、2015年もパワー半導体は多くの注目を集めるだろう。
数百V以上の耐圧が要求されるパワー半導体分野は現在、大きな過渡期にあり、従来のシリコンとは異なるSiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)といった新たな半導体材料を用いた次世代パワー半導体の本格普及が目前に迫っている。シリコンによる従来パワー半導体に比べ次世代パワー半導体は電力損失が1/10以下で、省エネ化に大きく貢献できる。一方で、ウエハー製造コストは現状、シリコンの数十倍と高く、安価なウエハー製造技術の確立が待たれる。
パワー半導体分野は、欧州メーカーと並んで、国内メーカーが大きな世界シェアを持つ分野であり、国内での技術開発が活発だ。2014年には、SiC、GaNの他、ダイヤや酸化ガリウム(Ga2O3)などを用いた次世代パワー半導体の開発や応用促進を目指した産学官連携型の新たな研究開発プロジェクトが発足。日本発の新たな次世代パワー半導体技術が生まれることも期待されている。
さまざまな半導体の中で現状、最も多様な方向性で技術開発が行われている領域の1つがメモリ領域だ。より高密度、高速に大量のデータを扱えるメモリを目指し、多種多様な次世代メモリ技術の開発が進んでいる。
例えば、Micron Technologyなどが提唱するHMC(Hybrid Memory Cube)は、最大2000個のシリコン貫通電極使用し、DRAMチップを複数枚積層する新たなDRAMだ。従来のDRAMモジュールと違い、チップを積層することで、実装面積を大幅に縮小するだけでなく、低遅延/高速伝送も実現できる特長があり、DDR4世代の次のDRAMモジュールとして、通信機器などから採用が始まるとされる。
またDRAMの代替などを狙った不揮発性RAMの開発も依然として活発だ。MRAM(Magnetic RAM:磁気メモリ)、PCM(Phase-Change Memory:相変化メモリ)、ReRAM(Resistive RAM:抵抗変化型メモリ)、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリ)といったさまざまなメモリの開発が行われている。
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