ヘルスケア/フィットネス分野で普及が始まっているモノのインターネット(IoT)機器が、キッチン家電にも浸透し始めている。
シリコンバレーで新しい料理法が登場している。センサーやマイコン、無線ネットワーク、モバイルアプリなどを使った科学的な手法であるが、何ら驚くことはないだろう。米国カリフォルニア州サンタクララで2015年7月20〜22日に開催予定の「Embedded Systems Conference 2015(ESC 2015)」では、さまざまな種類のハイテク調理器具が披露される予定だ。
既存のインターネットにつながる冷蔵庫は、牛乳を買う必要がある場合、メッセージを送信して通知する。しかし一部の新興企業は、こうした従来の固定観念に新たなアイデアを加えることにより、もっと多様性に富む、便利かつ魅力的な製品の実現を目指している。
米国カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く新興企業Palate Homeは、インターネット対応の精密な調理温度管理が可能な家庭用グリルの製造を手掛けるメーカーだ。同社のCTO(最高技術責任者)を務めるJim Reich氏は、「インターネット冷蔵庫の場合、冷蔵庫の方が“やり取りの主導権”を握っているから、ユーザーがうんざりするのではないだろうか。スマートなキッチン家電は、人々の生活を大きく向上させる可能性を秘める分野であることから、もっと高い付加価値を実現できるはずだ」と述べている。
Palate Homeは間もなく、同社にとって最初の製品となる調理家電「Palate Smart Grill」の出荷を開始する予定だ。このPalate Smart Grillは、最高級レストランで提供されるSous Vide(真空低温調理法)を家庭でも実現することができるという。真空低温調理法とは、食材を密閉ポリ袋に入れて低温のお湯に浸すという調理法で、1960年代から普及し始めた技術だ。
Palate Homeは自社のWebサイトで、次のように述べている。
トップクラスのシェフは、精密に調理できる専用機器を使用する。例えばコンビオーブンは、価格が数万米ドルである上、専用の給水管を必要とする。当社は、このような精密調理技術を、一般家庭用の電気グリルでも使えるように最適化した。設定に要する時間はわずか1分で、調理が完了したら1分程で食べる用意ができる。強力なソフトウェアと最先端のセンサーを搭載しているため、調理方法を自動的に調整でき、食材にぴったりの料理に仕上げることが可能だ。
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