Volvo Cars(ボルボ)がスウェーデンで、自動運転の実証実験プロジェクトを発表した。100人のクルマ通勤者が参加する見込みだという。ボルボは自動運転車を大都市で導入すべく、一歩一歩進んでいるようだ。
Volvo Cars(ボルボ)は、スウェーデンのヨーテボリで100台の自動運転車を用いて行うプロジェクトの詳細を発表した。このプロジェクトでは、自動運転が直面するようになる課題を明らかにされる。
Volvoは2017年から、自動車通勤の人々の協力を得て、自動運転車の大規模な実験を行う。実験には多くのセンサーを搭載したSUVの最新モデル「XC90」が用いられる。同プロジェクトは、車載センサーとアルゴリズムだけでは不十分であることも明らかにする予定だ。重要なデータの多くが、自動車の“外”から取り込まれるものであることを実証するという。
実証実験で使う自動運転車では、後方監視用の76GHz長距離レーダーに加え、車両の四隅に1つずつ、レーダーが搭載される。これらのレーダーはあらゆる方向の物体を探知・特定する。また、左右を徹底的に探知し、標識やポール、トンネルの壁から反射する波長を利用して、自動車の周囲を360°監視する。
4台のカメラは自動車に極めて接近した物体を監視する。4台のうち2台は外側のバックミラーの下、1台はリアバンパーの中、もう1台はラジエーターグリルの中に搭載される。これらのカメラは至近距離の物体を検知する他、車線区分線を監視する。また、ダイナミックレンジが高く、トンネルに入った時など、明るさの急な変化にも対応できる。
自動車のフロント部分にある吸気口の下には、ビームレーザー・スキャナーが取り付けられる。このスキャナーは自動車の前にある物体を特定することができ、極めて高い角度分解能を実現している他、物体の識別も可能だ。このレーザーセンサーの範囲は自動車から150mで、140°の視野をカバーする。
さらに、フロントガラスの上部に取り付けられたカメラは3台のカメラを一体にしたもので、幅が広い140°、狭いが長距離を捉える45°、奥行きと遠くの物体を検出する34°という3つの画角を実現する。突然現れた歩行者や、その他の突発的な道路障害物を見つけるられるという。
また、自動車のリアバンパーに取り付けた長距離レーダーにより、後方が確実によく見えるようになる。この技術によって、後ろから高速で近づく車両を検知できるため、車線変更時に特に有用である。
自動車の周囲に12個搭載する超音波センサーは、自動車に近づく物体を検知し、低速での自動運転をサポートする。
これらのセンサーは、既存の駐車支援システム向けの技術をベースとして開発されたもので、最先端の信号処理機能を備える。このため、車両周辺の歩行者や危険性の存在など、予期せぬ状況を検知する上で非常に役立つ技術だといえる。
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