キヤノンは、開発中のナノインプリント技術を用いた半導体製造装置について、2015年中の製品化を目指している。同装置は解像度10nm台の微細加工に対応することが可能である。まずはフラッシュメモリの製造ラインへの導入を予定している。
キヤノンは2015年2月、開発中のナノインプリント技術を用いた半導体製造装置について、2015年中の製品化を目指す、と発表した。同装置は解像度10nm台の微細加工に対応することが可能である。まずはフラッシュメモリの製造ラインへの導入を予定している。
ナノインプリント技術を用いた半導体製造装置は、ICチップの回路パターンが彫り込まれたマスク(原版)をウエハー上のレジストに直接押し付けることで、回路パターンをウエハー側に転写することができる。これまで半導体製造プロセスで一般的に用いられている光露光装置に比べて、高解像度で均一な回路パターンを描くことができるという。しかも、光露光装置のように特殊な光源や大口径レンズが不要となるため、装置の構造がシンプルで、形状もコンパクトにすることが可能である。このため、複数台のナノインプリント半導体製造装置をクラスタ化して設置すれば、半導体製造の前工程における生産性を向上させることができ、ICチップの製造コストを大幅に削減することが可能となる。
キヤノンは、2004年よりナノインプリント技術の研究を開始し、2009年以降は同技術を用いた半導体製造装置の製品化に向けて、大手半導体メーカーや子会社のCanon Nanotechnologiesと共同で開発に取り組んできた。まずはフラッシュメモリの製造ライン向けに製品化するが、将来はDRAMやロジックICの製造ラインへの適用も目指している。
なお、キヤノンは半導体リソグラフィ技術に関する国際会議「SPIE Advanced Lithography 2015」(2015年2月22〜26日、米国カリフォルニア州サンノゼで開催)で、ナノインプリント半導体製造装置に関する開発の進捗状況について講演を行った。
ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術は、開発が加速している。2015年2月には、東芝とSKハイニックスが共同開発を開始すると発表した(関連記事:東芝とSKハイニックスがナノインプリントを共同開発、15nmプロセス以降に適用)。「物理的な限界が近い」といわれながらもプロセスの微細化が進む中、いかに低コスト化を図るかが課題になっている。
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