日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、電力消費が極めて小さく、複数の無線通信規格に対応できるマイコンプラットフォーム「SimpleLink」を発表した。第1弾として「Bluetooth Smart」や「ZigBee」などの規格に対応する3製品を発売した。IoT(モノのインターネット)機器などの用途に向ける。
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2015年2月26日、電力消費が極めて小さく、複数の無線通信規格に対応できるマイコンプラットフォーム「SimpleLink」を発表した。第1弾として「Bluetooth Smart」や「ZigBee」などの規格に対応する3製品を発売した。コイン型電池やエネルギーハーベスティングを利用するシステムで、長時間の動作を必要とするIoT(モノのインターネット)機器などの用途に向ける。
SimpleLinkは、メインCPUコアにARM Cortex-M3を採用したマイコンで、無線機能やセンサーコントローラ、メモリおよびA-Dコンバータ、DC-DCコンバータ、各種I/Oなどの機能を1チップに集積している。無線部のROMに書き込まれる通信プロトコルを変更することで、Bluetooth Smart(Bluetooth Low Energy)やZigBee、6LoWPAN、サブギガヘルツ帯無線、ZigBee RF4CEなど5種類の無線通信規格および独自モードに対応することができる。
消費電力が極めて小さく高い処理能力を備えているのも特長だ。無線機能のピーク電流は最大6.2mA、マイコン動作時の電流は最大61μA/MHzである。スタンバイモード時の消費電流はわずか1μAである。EEMBCのULPBenchスコアは143.6を達成するなど、他社製の同等マイコンに比べて、消費電力をほぼ半分に削減することが可能となる。
SimpleLinkの第1弾として発表した製品は、Bluetooth Smart対応のワイヤレスマイコン「CC2640」、6LoWPANとZigBee対応のワイヤレスマイコン「CC2630」、およびBluetooth Smart、6LoWPAN、ZigBee、RF4CFなど複数の2.4GHz無線技術に対応するワイヤレスマイコン「CC2650」の3製品である。
CC2640は、ヘルスケア/フィットネス機器や、医療用ウェアラブル機器、モバイルアクセサリ機器、ビーコン機器、産業オートメーションなどの用途に向ける。CC2630は、セキュリティシステムや家電機器、ワイヤレスセンサーネットワークなどの用途に向ける。CC2650は、1つの設計で複数の2.4GHz無線通信技術に切り替えることができるため、製品への実装時までに通信方式が確定していない場合などに有効である。
3製品は、外形寸法が4mm角、5mm角、7mm角のQFNパッケージでそれぞれ供給される。4mm角の製品は汎用IO数が10本、5mm角の製品は同15本、7mm角の製品は同31本となっている。既に7mm角の製品は供給を始めており、それ以外の製品はサンプル出荷中だという。参考価格(1000個購入時の単価)は7mm角の製品で、CC2640が3米ドル、CC2630が5.10米ドルである。
CC2650を搭載した開発キット「CC2650DK」や、追加用のプラグインボード「CC2650EMK」、CC2650ベースのセンサータグキット「CC2650STK」も用意している。参考価格はCC2650DKが299米ドル、CC2650EMKが99米ドル、CC2650STKが29米ドルである。必要に応じて最新の「BLE-Stack」や「Z-Stack」をTIのウェブサイトからダウンロードして利用することができる。
SimpleLinkの第2弾として、3製品を2015年内に発表する予定である。「CC1310」は1GHz未満のサブギガヘルツ帯無線向けワイヤレスマイコンで315MHz、433MHz、470MHz、868MHz、915MHzおよび920MHzといったISM周波数帯で動作する用途に向ける。「CC2620」はZigBee RF4CE向けワイヤレスマイコンで、TVやセットトップボックスなどのリモコン用途に向ける。「CC1350」は2.4GHzとサブギガヘルツの無線通信動作を同一チップで行うことができるデュアルバンド対応のワイヤレスマイコンとなる。
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