こうした利点により、電圧差による位相検出の方が、より高分解能かつ低消費電力な特性を実現できるとする。同大学では、「デジタルPLLにこのADCによる位相検出器を用いれば、非常に低い帯域内位相雑音かつ低ジッタ特性の実現が可能となる。消費電力も低くできる」としている。
同研究グループは、A-Dコンバータを用いた新規デジタルPLLを、65nm シリコンCMOSプロセスで試作し、4.2mWの消費電力を用い、2.2GHzの周波数で発振させることに成功。帯域内位相雑音は−112dBc/Hz、クロックの揺れを表すジッタ特性は、RMS値で380fs、発振周期に対して0.08%という値を達成したとする。
| 新方式ADC型PLL | C. Hsu JSSC'09 | C.Yao JSSC'13 | Chilara ISSCC'14 | |
|---|---|---|---|---|
| 方式 | ADC-based | TDC-based | TDC-based | TDC-based |
| 周波数 | 2.2GHz | 3.6GHz | 2.7GHz | 2.4GHz |
| RMSジッタ | 380fs | 200fs | 230fs | 1.71ps |
| 帯域内 位相雑音 |
−112dBc/Hz | −107dBc/Hz | −110dBc/Hz | −90dBc/Hz |
| PLL FoM | −242dB | −237dB | −240dB | −236dB |
| 消費電力 | 4.2mW | 47mW | 17mW | 0.9mW |
| 面積 | 0.15mm2 | 0.95mm2 | 0.62mm2 | 0.20mm2 |
| 東京工業大学の発表資料より作成 | ||||
同大学は、「無線機の小型・低消費電力化、マイクロプロセッサや専用LSIの大幅な低消費電力化・高速化・小型低価格化に威力を発揮する技術といえる。超小型バッテリーレスセンサーなどあらゆる機器に組み込むことが期待される」としている。
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