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ギガビットイーサネット対応を5ドル以下で実現、16コア搭載マイコンプロセッサ/マイコン(1/2 ページ)

XMOS(エックスモス)は、ギガビットイーサネットに対応するマルチコアマイクロコントローラ「xCORE-200」ファミリを開発し、サンプル出荷を始めた。第1弾となる製品は16個のプロセッサコアを内蔵しており、最大2000MIPSの処理性能を実現しながら、量産時の価格は5米ドル以下と安価である。

» 2015年03月24日 16時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 XMOS(エックスモス)は2015年3月24日、ギガビットイーサネットに対応するマルチコアマイクロコントローラ「xCORE-200」ファミリを開発し、サンプル出荷を始めた。xCORE-200ファミリの第1弾となる製品は16個のプロセッサコアを内蔵し、最大2000MIPSの処理性能を実現しながら、量産時の価格は5米ドル以下と安価である。同時に、ハイレゾオーディオ用途に特化することで低価格を実現した「xCORE-AUDIO」プロセッサファミリのサンプル出荷も開始した。

 xCORE-200ファミリは、第1世代製品「xCORE」ファミリのアーキテクチャを継承しつつ、いくつかの機能拡張を行った。その1つが、1サイクルで2命令を実行するパイプライン処理方式を採用したことである。1サイクルで1命令実行の従来製品に比べて、2倍の処理性能を実現することができる。内蔵SRAMは従来の1ダイ(同社では「タイル」と呼ぶ)当たり64kバイトに対して、xCORE-200ファミリは256kバイトに増やすなど、4倍のメモリ容量を実装した。さらに、ギガビットイーサネットMACレイヤーを内蔵した。搭載可能な最大プロセッサコア数も、従来の16個から今回は32個に拡大している。

xCORE-200ファミリの外観

 xCORE-200ファミリとしては、ギガビットイーサネットとUSB2.0に対応した「XE2xx」ファミリ、USB2.0対応の「XU2xx」ファミリ、および汎用製品の「XL2xx」ファミリを用意する。搭載するコア数は8〜32個である。さまざまな用途に対応できるよう、幅広い製品群をそろえていく。

xCORE-200ファミリの製品群 (クリックで拡大) 出典:XMOS

 xCORE-200ファミリの第1弾となる「XE216-512-TQ128」は、16個の32ビットRISCプロセッサコアを搭載した。処理性能は最大2000MIPSとなる。SRAMは512kバイトの容量を内蔵している。また、最大1Gビット/秒のイーサネットMACレイヤー対応ポートや480Mビット/秒のUSB2.0インタフェースをサポートした。ハードウェアレスポンスI/O数は88本を内蔵している。パッケージは128端子TQFPで、価格は10万個購入時の単価で4.75米ドル。

 XMOSのCOO(最高執行責任者)を務めるMark Lippett氏は、「XE216-512-TQ128は、航空/宇宙機器や鉄道車両などにおける構造解析、測定など多くのセンサー情報を収集してデータ解析するような用途に向ける。多軸制御の産業用機器やロボット装置などへの応用も期待している」と話す。ルータやスイッチなどIoT(モノのインターネット)関連装置からの引き合いもあるという。

 xCORE-200ファミリで8/10/12コアの製品は数カ月後に出荷を開始する。24コアおよび32コア製品については、2015年後半に出荷を始める予定だ。xCORE-200を搭載した開発ボード「xCORE-200eXplorerKIT」や、開発ツール「xTIME-Composer Studio」も用意している。

ハイレゾオーディオに特化、チップ価格を量産時2米ドル以下に

 同時に発表したxCORE-AUDIOプロセッサファミリは、xCORE-200ファミリをベースとして開発した。ハイレゾオーディオに特化して機能を絞り込むことで、価格を大幅に抑えた。製品は、コンスーマ向けステレオハイレゾUSBヘッドフォンやUSB-DAC、AVレシーバ製品に向けた「xCORE-AUDIO Hi-Res」と、セミプロ/プロフェッショナル向けDJキットやミキサー、コンテンツ制作用機器などに向けた「xCORE-AUDIO Live」の2種類がある。

xCORE-AUDIOプロセッサファミリの主な仕様(クリックで拡大) 出典:XMOS

 xCORE-AUDIO Hi-Resは、「USB2.0」、「USB Audio Class1.0/2.0」、「USB Firmware Upgrade(DFU)1.1」といった機能や、ハイレゾ音源に関連した「DSD」や「SPDIF」などの規格をサポートしている。サンプリングレートも44.1〜384kHzに対応することができる。音源プラットフォームとしては、iPhoneやApple OSX搭載機器、Android 搭載機器、Windows PCなどに対応している。

 xCORE-AUDIO Hi-Resは、既にサンプル出荷を始めている。価格は100万個購入時の単価で2米ドル以下を想定している。xCORE-AUDIO Hi-Resを実装した開発ボードもサンプル出荷を開始した。

 xCORE-AUDIO Liveは、xCORE-AUDIO Hi-Resに比べて、チャネル数を拡大しDSPの処理能力をさらに向上した製品となる。2015年4月より出荷を始める予定である。

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