今回の研究では、蜂の巣格子に並んだナノロッドを六角形クラスタに区分けしたあと、形状やサイズを保持したままで、六角形クラスタ同士の間隔を広げたり縮めたりした。この結果、六角形クラスタ同士の間隔が広い場合、電磁波の成分は単純となった。逆に、六角形クラスタ同士の間隔が狭くなった場合には、電磁波成分が混ざりあうことが分かった。しかも、フォトニック結晶の波数によって電磁波成分の混ざり具合が変化することが明らかになった。電磁波成分のひねりによって、フォトニック結晶の表面に特異な状況が現れ、空気やフォトニック結晶との界面で電磁波を伝搬することができるようになる。
結晶境界面に鋭角あるいは鈍角となっている部分がある場合、一般的に電磁波は鋭角では後方に反射され、鈍角では直進する性質がある。ところが、今回の研究では、電磁波がこれらを感じずに界面に沿って進むことが分かった。表面に欠陥があった場合でも、その部分を回避して伝搬することが確認されている。このことは、量子スピンホール効果と呼ばれるトポロジカル特性がフォトニック結晶に発生していることを示すもの、とみている。
今回の研究成果により、トポロジカル特性を持ったフォトニック結晶をシリコンで実現することを可能とした。これらの成果を応用することで、既存の半導体技術による情報処理と、電磁波による情報伝搬機能をコンパクトに集積することもでき、新たな機能デバイスの開発につながる可能性を示した。
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