タブレット端末市場が縮小傾向にある。主な要因は市場の飽和だ。ただし、エンタープライズ向けでは、成長の余地が残されているという。さらに、Appleの次世代OS「iOS 9」でタブレット市場が再び活気づく可能性もある。
アナリストたちの予測によると、2015年におけるタブレット端末の世界出荷数は、減少する見込みだという。先進国の消費者の間で飽和状態に達し、市場の勢いが減速しているためだ。
米国の市場調査会社IDCによると、2015年におけるタブレット端末および2-in-1機器の出荷数は、前年比3.8%減の2億2180万台になる見込みだという。
他の市場調査会社も同様に、2015年のタブレット市場について悲観的な見方をしているようだ。米調査会社のIHS Technologyの予測によると、タブレット市場は2015年に減速し、2016年も横ばい状態が続くとみられている。しかしその後、2017年には再び成長軌道に乗る見込みだという。
また、米国の市場調査会社であるABI Researchによれば、2015年第1四半期におけるタブレット端末の出荷数は、前期比で35%減、前年同期比では16%減少する見込みだ。
IHS Technologyでタブレット/ノートPCリサーチ担当ディレクタを務めるRhoda Alexander氏は、EE Timesの取材に対し、「これまでにも、タブレット端末の出荷数が減少した四半期はあったが、大幅に減少するのは今回が初めてだ。注目すべきは、今回の減少幅がかつてないほどに大きいという点である」と述べている。
アナリストたちは、タブレット端末の出荷数が減少する要因について、いくつか挙げている。その中でも最も重要なのが、市場の飽和だ。先進各国において、タブレット端末に興味を持っていた消費者の大半が、既にタブレットを所有している。アナリストたちは、「新型デバイスにアップグレードする消費者の数も十分ではなく、出荷数の増加を維持するには至らなかった」と説明する。
ABI Researchでシニアプラクティスディレクタを務めるJeff Orr氏は、「最初にタブレット端末を購入することに意欲的だった人々は皆、既に購入済みだ。タブレット端末の出荷数に関しては、最初に製品が市場投入されたころのような成長率を再び達成することは難しいだろう。しかし、タブレット端末がコンピューティング市場において力強い存在であることに変わりはない」と述べる。
アナリストによると、この他にもタブレット端末の出荷数が減少した要因の1つとして、大画面スマートフォンの台頭が挙げられるという。
Alexander氏は、「タブレット端末が2000年代後半に登場した時、ネットブックなどの他の製品カテゴリの売上高が減少した。この時と同様に、いわゆるファブレットの人気が高まったことで、タブレット端末の売上高が減少することになった。オールインワンソリューションを好む、特定の階層の人々が存在するためだ」と述べている。
IDCのワールドワイドモバイルデバイストラッカー部門でプログラムディレクタを務めるRyan Reith氏は、「小型タブレット端末の人気が高まっていることも、要因の1つと考えられる。大画面スマートフォンのユーザーは、画面の大きさがそれほど変わらないタブレット端末に対して、必要性を感じないだろう」と指摘する。
しかしアナリストたちは、「タブレット端末には、特に新興市場やエンタープライズ市場などにおいて、まだ成長の余地が残されていると確信している」という。また、Appleの次世代OS「iOS 9」も、タブレット端末の人気に再び火が付くきっかけになるとみられている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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