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HMDはディスプレイだけで勝負する、「エアスカウター」が720pに進化多機能は要らない(2/2 ページ)

» 2015年07月13日 19時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
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ニーズのあるところで、確実にシェアを取る

 ブラザー工業が、AiRScouterの既存品「WD-100G」「WD-100A」を発売したのは2012年だ。だが、「国内だけで販売し、海外ではテスト的に投入していただけということもあり、出荷台数がそれほど伸びたわけではなかった」(同社)という。さらには、競合他社品も市場に投入され始めている。そうした競合品に対する強みについて、同社は「あえてディスプレイに特化したこと」と即答した。「いくつか発表されている他社品は、センサーを搭載していたり、両眼だったり、カメラを搭載していたりと(さまざまな機能が)複合化されているものが多い。そのようなモデルとは一線を画している」(同社)。

photo 「積極的なマーケティング活動を行っていきたい」と話す、ブラザー工業 常務執行役員の松本勇美夫氏

 今回の販売目標は、3年間で国内では1万2000台、世界全体で3万台だ。これも決して大きな数字とはいえない。ブラザー工業も、市場自体がまだそこまで大きくないことは自覚しているという。

 一方で、先述した透析治療のように、ヘッドマウントディスプレイに対して確実なニーズがある市場もある。「当面は、切実なニーズがある分野に確実に応えられるようにしたい」と、ブラザー工業は語る。「単眼のディスプレイ」に徹した製品を、ニッチでも確実にニーズがある分野で売っていく。これが、AiRScouterに対する同社の戦略だ。

 また、組み立て業務支援や遠隔作業支援、医療だけでなく、ドローンの操作やセキュリティ、巡回警備など、新しい応用分野も広がっている。「応用できる市場の可能性は高いので、積極的なマーケティング活動を行っていきたい」(同社)。

 なお、ブラザー工業は以前、網膜走査ディスプレイの開発を手掛けていた。だが同ディスプレイについては、既に開発をやめている。旧モデルのAiRScouterも、網膜走査ディスプレイではなく、光源にLEDを使った透過型の液晶ディスプレイである。

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