前回、私は、「老人ホーム4.0」というコンセプトを紹介しました。
研究者も政府も当てにせず、―― 私の老後の人生のために、私の自宅の隅々に、私のために必要な介護アシスト機器を「自分で作り、自分だけのために動かす」―― ホームセキュリティシステムの作る、と宣言しました。
なぜ私が、「自分で作る(Do It Yourself:DIY)」ことにこだわっているかいうと、私の考える「老人ホーム4.0」を本気で実現するためには、このDIY戦略がもっとも有効であると考えるからです。
まず、誰かに頼めばコストが高くなります。業者に頼んで、自宅にLANを敷設するだけでも、数十万円のオーダに乗ってしまうことがあります。ここから介助ロボットやら移動歩行器、各種のセンサーを購入すれば、さらにコストが増します。
さらに、それらのシステムを動かすための、アプリケーションプログラムを作ることも必要ですし、とどめは、そのシステムを運用(制御、保守修理)するコストも必要になります。
ざっくり、試算してみたのですが、
―― 土地付きの一軒家が、もう二軒建つ
くらいの値段になってしまいました。
これだけのお金を払って誰かに作ってもらうくらいであれば、老人ホームで、最高クオリティの介護を受けることができるでしょう。
しかし、コストの問題は、そんなに深刻ではないかもしれません。「少子高齢化」そのものが解決してくれるかもしれないからです。
1つ目はパッケージ化による低価格化です。老人ホームシステムのOSや基本アプリを詰め込んだ、「老人ホーム」プラットフォームソフトウェアWidows/Widowers*)(×Windows)が販売されるかもしれません。
*)意味は辞書で調べてみてください
深夜の秋葉原で、高齢者の長い行列ができる……ということはならないでしょうが、オンラインソフト、または、クラウドサービスとして提供される可能性はあります。
2つ目はコモディティ化による低価格化です。
介助ロボット、昇降移動椅子、パワードスーツや、それにマスタ、スレーブも量産化され、コモディティ化することで、今よりもっと安価に提供される可能性もあります。例えば、イーサネットの通信カードは、30年前には24万円しましたが、今は710円で買えます(コストダウン率99.7%))。
だからコスト面に関しては、あまり心配しなくてもいいかもしれません。
むしろ問題は、心理(マインド)面だと思っています。
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