Alliance for Open Mediaも、新しいビデオコーデック技術の詳細は何も明らかにしていない。欧州では、「IFA 2015」(2015年9月4〜9日、ドイツ・ベルリン)や「IBC 2015」(同年9月11〜15日、オランダ・アムステルダム)といった、大規模な家電・放送関連の展示会が開催されるが、Alliance for Open Media関連の技術デモはないようだ。
だが、Alliance for Open Mediaの参加企業が映像の専門知識に欠けているというわけではない。Ciscoは「Thor」、Googleは「VP10」、Mozillaは「Daala」といったように、それぞれ独自のビデオコーデック技術に取り組んでいる。
Mozillaで、プラットフォームエンジニアリング部門のバイスプレジデントを務めるDavid Bryant氏は、2015年9月1日付けのブログで「ロイヤルティーフリーのビデオコーデックに向けた動きが急速に進んでいる。当社はDaalaや、『NETVC(Internet Video Codec)』など、ロイヤルティーフリーのビデオコーデックのニーズに対処すべく取り組みを進めている。その結果、大きな関心が寄せられている。われわれは、DaalaやCiscoのThor、GoogleのVP10を組み合わせることで、本当の意味で“世界的なロイヤルティーフリーのビデオコーデック”の基盤を築けると確信している」と述べた。
Alliance for Open Mediaの広報担当者であるMatt Frost氏(Google)とIan Le Grow氏(Microsoft)に、同アライアンスのビデオコーデックとHEVCとの相違点について尋ねたところ、「Alliance for Open Mediaは、H.265の質を超える次世代のインターネット映像技術を開発している」と回答した。
では、H.265/HEVCでは具体的に何が成し遂げられなかったのだろうか?
同アライアンスの広報担当者は「当団体の主な目標は、従来の標準化団体よりも迅速に、H.265では実現できない性能を得ることだ」と述べている。
さらに、Frost氏とGrow氏は、「Alliance for Open Mediaの全てのメンバー企業は、最終的に実現されるビデオコーデック技術のIP(Intellectual Property)を、ロイヤルティーフリー方式でライセンス供与することを目指している」と説明した。
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