半導体業界の次なる“けん引役”をスマートホームに期待するのは、だいぶ早いようだ。GoogleやSamsung Electronicsなどが投資している分野ではあるものの、多くの一般消費者は、スマートホームの設定や接続がうまくいかずに諦め気味になっているという。
「スマートホームは、膨大な数のコネクテッドデバイスを設置することによって、エレクトロニクス業界の救いとなるだろう。」こうした考えはもはやむなしい希望であり、捨て去った方がよさそうだ。半導体業界は、次なる市場のけん引役を必要としているが、スマートホームは少なくとも今のところその役割を担っておらず、さらに今後もそれを実現する可能性は薄いだろう。
米国の調査会社であるArgus Insightsが最近発表したリポートによると、消費者がコネクテッドホームに対して抱く不信感は高まる一方で、その勢いはスマートホームメーカーが自社のデバイスの機能を修正するペースを上回っているという。同社は、「スマートホームデバイスの接続性や信頼性に対する消費者の不満の高まりが、その普及拡大を妨げる要因となっている。また、需要の低迷が続けば、ホームオートメーションメーカーを手掛ける企業にとって、ホリデーシーズンの売上高を増加させることは非常に難しいだろう」と指摘している。
エレクトロニクス業界は現在、コネクテッドホームの普及に向けて少しずつ進んでいるどころか、スマートホーム関連の需要が全体的に落ち込むという問題に直面している状況にある。
Argus InsightsのCEO(最高経営責任者)であるJohn Feland氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「モノのインターネット(IoT)やコネクテッドデバイスは今のところ、大半の消費者にとって、まだ“目新しい変わった物”という位置付けにとどまっている。シリコンバレーの研究所では素晴らしい成果を上げているかもしれないが、例えば(都市部ではない)カンザス州の一般家庭でも、実際にうまく機能するのだろうか」と語っている。
同氏は、「多くの消費者たちは、2014年のホリデーシーズンに、デバイスの設置方法や信頼性などをめぐる問題で痛い目に遭っている。いち早く導入した人々や熱狂的なテクノロジー愛好家たちには、こうした問題を解決するための時間も気力もあったかもしれない。しかし、2014年のホリデーシーズンに多くの消費者たちに押し付けられた問題は、現在も残されたままになっている」と述べる。
Feland氏は、「大半の消費者は、スマートホームを実現しようと悪戦苦闘した末、スイッチが入らないことにうんざりして、全てがばからしくなってしまう」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.