米電源/電子部品メーカーであるCUIは、日本の電源市場への本格参入を図っている。このほど、カナダの電源メーカーを買収するなどし、強みの製品ラインアップを強化。競合の多い日本市場でシェア獲得を目指す。
米電源/電子部品メーカーであるCUIは、事業規模拡大を狙って積極的な投資を相次いで実施している。2015年3月には、高出力電源の製品強化を狙いカナダの電源メーカーを買収。さらに、デジタル電源の業界標準の策定/普及を目指すコンソーシアム「Architects of Modern Power(AMP)グループ」を、CUIが中心的な役割を担いつつ、村田製作所、エリクソン・パワー・モジュール(Ericsson Power Modules)という競合2社とともに設立した。日本市場に対しても、本格参入を決め、このほど、販売代理店網を整備するなどの投資を実施している。
あらゆる面で、積極果敢な姿勢をみせるCUIのPresidentを務めるMatt McKenzie氏、グローバル・マーケティング担当Vice PresidentのJeff Schnabel氏、日本法人シーユーアイ・ジャパン代表の山本克実氏の3氏にインタビューした。
EE Times Japan(以下、EETJ) 現在の事業内容を教えてください。
Matt McKenzie氏 米国オレゴン州テュアラティンに本社を置く企業であり、1989年の設立以来、電源を中心に、コネクタやマイク/スピーカー、ロータリーエンコーダといった電子部品を設計、販売してきた。米NASDAQ市場に上場する持ち株会社CUI Globalの中核事業会社であり、2014年度の売上高は7600万米ドル(CUI Globalとしての実績)。売り上げのおおよそ6〜7割が電源製品関連で占めている。
山本克美氏 2013年からCUIのビジネスに携わって来て感じていることだが、CUIは米国企業ではあるが、利益優先の冷酷な経営とはほど遠く、家族的な雰囲気のある企業で、どことなく日本企業に近い文化の企業だ。
Matt McKenzie氏 もともと、1989年の設立時は日本のエレクトロニクス企業との合弁会社として誕生した経緯もあり、“互いに助け合う”という精神が定着し、CUI独特の企業文化が培われているのだろう。
EETJ 主力の電源製品ですが、特長はありますか。
McKenzie氏 いくつかの強みがある中でも、特筆すべきは、品ぞろえだ。1W未満のDC-DC電源から、1万2000WクラスのハイパワーAC-DC電源までを、くまなくカバーしている点は、他の電源メーカーにはない特長だと考えている。電子部品も含めた数になるが、製品種数は1万種を超える規模を誇っている。
実は、1年ほど前までは、600Wを超えるハイパワー電源のラインアップは、かなり限られていた。しかし、2015年3月に、ハイパワー電源を得意とするカナダのTectrolを520万米ドルで買収した。Tectrolは、技術力、製品力のある電源メーカーであり、CUIの販売網を活用することで、大きな売り上げ拡大が見込めたため買収に至った。CUI製品とも補完関係にあり、相乗効果がうまく発揮できている。今期(2015年度)は、第3四半期(1〜9月期)時点で、累計売上高が6475万米ドルと前年比12.6%増と好調に推移しているが、Tectrol買収効果も大きく寄与している。
EETJ 電源製品の製造体制を教えてください。
McKenzie氏 これまではほぼ全ての製品を、長くパートナー関係にある協力会社に委託し製造してきた。現在は、買収したTectrolが保有していた2万2200m2の広さを持つカナダ・トロントの製造拠点を引き継ぎ、運営している。従来のCUI製品の一部もトロントの製造拠点での生産を実施している状況だ。
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