EETJ 日本でのビジネスの状況はいかがですか。
McKenzie氏 これまで日本オフィスは、販売拠点というよりも日本企業から部材を調達する拠点として機能してきた。ただ、ここ1〜2年は、本格的な販売拠点としての機能を持たせる方針に変え、強化を図っている。
山本克美氏 ここ1〜2年で、エレマテックや緑屋電気、タクミ商事といった6社と販売代理店契約を結び販売網を整備してきた。最近では、日本語版のWebサイトも開設し、国内顧客向けのサポート体制も徐々に整いつつある状況だ。
EETJ 日本は、有力な競合電源メーカーが複数存在します。
山本克美氏 その通りで、非常に厳しい市場だと認識している。ただ、CUIの良さを打ち出すことで、一定のビジネスは獲得できると考えている。
正直に話すと、CUIも品質を重視しているが、日本の競合並みとは言い切れない。しかし、価格競争力はある。逆に、アジアの競合と比べると、品質は良いと言い切れる。こうしたCUIのポジションを生かしたい。
現状は、製品ラインアップの広さから引き合いが増えている。特に3〜5W程度のPOL電源モジュールが好調だ。競合があまり多くの品種を持っていない領域であり、引き合いが特に多い。しかも、引き合いがあったうち、50%以上で商談がまとまっている状況であり、しばらく期待できる製品だ。
他にも、米エネルギー省(DoE)の外部電源規制「Level VI(レベル 6)」に対応したACアダプター製品への引き合いも増えつつある状況だ。CUIは、Level VI対応製品が一通り、そろい先行できており、他の電源メーカーからの受注もあるほどだ。
EETJ Level VIとはどのような規制ですか。
McKenzie氏 米国に出荷される全ての外部電源に適用される効率/待機電力に関する基準であり、従来の「Level V」よりも高い効率が要求されている。施行は2016年2月10日と迫っている。この日以降、Level VIに対応していないACアダプターは米国内で販売できなくなるのだが、米国内ですら一部で知らない人もいるぐらい認知されていない。
山本克美氏 日本では、ほとんど知られていない状況であり、対応製品も見掛けない状況だ。今後、Level VI相当の規制は、米国だけでなく、欧州でも実施される見込みであり、日本でも近い将来、同等の規制が行われる見込みであり、新規制対応製品の提案も強化したい。
EETJ 2014年にデジタル電源の業界標準の策定などを目指したコンソーシアム「AMPグループ」を立ち上げられましたが、デジタル電源ビジネスの状況はいかがですか。
Jeff Schnabel氏 デジタル電源のビジネスはまだまだ、わずかであり、あくまで将来を期待したビジネスだと位置付けている。
デジタル電源は、将来、必ず普及するだろうが、クリアしていかなければならない課題も多い。デジタル電源をより早く普及させるには、競合間でさまざまな課題や情報を共有していくことが必要と考え、AMPの設立に至ったわけだ。
AMPの活動は、1年程度だが、既にデジタルPOLモジュールの機械的/電気的仕様を定めた規格を策定し、定格電流6Aから120Aまでをカバーするまでに至り、AMP準拠の製品も登場している。標準規格により、ソフトウェア/ハードウェア互換を持つ製品が複数そろい、セカンドソースを容易に手に入れられる状況などを提供できるメリットがあり、デジタル電源普及の一助となると考えている。
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