Akerun Entranceは、AkerunのファームウェアやBLE機能を切り出したモジュールを、自動ドア上部の空いているスペースに設置し、自動ドア内部の機器に接続することで利用できる。ナブテスコ製と寺岡オート・ドアシステム製のコントローラを搭載した自動ドアに対応している。同社の最高技術責任者(CTO)である本間和弘氏は、「ナブテスコ製のコントローラは、自動ドアの約50%に搭載されており、寺岡オート・ドアシステム製もナブテスコ製に続いてシェア2位である。そのため、ほとんどの自動ドアに対応できるだろう」とした。設置に掛かる時間は、約30分としている。
利用者側は、Akerunアプリをインストールしログイン後、Akerun Entranceから発行される12桁の認証コードを追加すると利用ができるという。また、ゲートウェイと鍵管理システムを導入すると、PCからの遠隔操作で自動ドアを開けることや、URLを使った合い鍵の発行ができるため、ブラウザのある端末を持っているだけで、自動ドアを開けることができる。
Akerun Entranceの利用用途としては、マンションやオフィスビルのエントランスだけでなく、不動産の内覧や飲食店舗などにも適しているという。また、河瀬氏は「福祉施設にもニーズがあることが分かったのが驚きだった。福祉施設は、認知症の方などが徘徊をしないように自動ドアの中から外に出れないような仕組みになっている。中から外に出るためには、専用の鍵が必要になる。しかし、職員の方々の移動頻度は多く、毎回鍵を持ち歩くのは面倒である。Akerun Entranceは、この問題を解決できる」と語った。
セキュリティ面に関しては、「Akerunはユーザーに対して、鍵の権限を許可制にして管理を行っている。万が一、スマホを落としてしまったときも、24時間体制で電話受け付けをしているので、遠隔で一時的にサービスを停止することができる。また、提携しているNTTドコモ・ベンチャーズからのレビューや、外部の企業2社からわざと攻撃してもらい、セキュリティに問題がないことが実証されている」(本間氏)とした。
Akerun Entranceの価格は、設置費用込みで初期費用が9万5000円である。システムの運用などに掛かる月額費用は、50世帯までを3万6000円とし、超過分は1世帯あたり500円としている。河瀬氏は、「これまでのNFC機器やカードキーを用いたシステムよりも、Akerun Entranceはスマホで運用ができるため、コスト面も利便性も良いと考えている。スマホは今までコミュニケーションツールだったが、今後あらゆる機器とつながり“個人を象徴するデバイス”になるだろう。Akerunもそれに伴って、シェアを拡大していきたい」と語った。
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