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» 2016年01月12日 14時30分 公開

シェア1位の維持が最優先、4G投資回収の支援もノキアソリューションズ&ネットワークス 社長 ジェジュン・ウォン氏(2/3 ページ)

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

LTE基地局を使ったモバイルエッジコンピューティング

EETJ IoT向けネットワークでは、どんな取り組みを行っているのか。

ウォン氏 さまざまな分野におけるIoTネットワーク構築と関わっているが、とりわけ注力しているのは自動運転や運転支援などを含めた自動車分野だ。Nokiaは2015年11月、ドイツ政府やContinental、ドイツテレコム(Deutsche Telekom)などとともに、ドイツのアウトバーン(高速道路)A9を使って、LTE基地局/車上デバイス間通信の実証実験を行った。これは、車車間通信(V2V)や路車間通信(V2I)などのV2Xを、LTE基地局を経由して行おうというもので、実証実験にはNokiaのLTE基地局が使われた。

 通常、基地局というのは信号処理を行うだけだが、基地局にボードコンピュータを差し込んで、コンピューティング機能を持たせた。これによって、低遅延のV2Xを実現できることが分かった*)。通信の世界では、コアネットワークまでいかず、このように基地局で処理することを、“モバイルエッジコンピューティング(MEC:Mobile Edge Computing)”と呼ぶ。ノキアは、このモバイルエッジコンピューティングを、通信市場で普及させたいと考えている。

*)1台のクルマから、LTE基地局を経由して別のクルマに通信するまで、最短で14ミリ秒だった。ノキアによると、LTEのフレーム構造上、基地局までデータが送られて折り返してくるだけで約8ミリ秒かかるという。基地局側でどれほど高速な処理をしているかが分かる。

実験の概要実験の様子 左=ドイツのアウトバーンA9での実験の概要。NokiaのLTE基地局にコンピュータボードを搭載し、コアネットワークを使わず基地局のみを経由して車車間通信を行った / 右=実験の様子(クリックで拡大) 出典:ノキア

 さらに、2016年には、IoTネットワークのテストができるラボ(実験施設)の開設に着手する予定だ。Nokiaは既に、韓国の大手キャリアであるKTとともに、2015年6月に同様のIoTネットワーク向けラボを韓国に開設している。日本でも、このようなラボを開設することにより、IoT機器の開発メーカーがノキアのネットワークを使って相互接続性を確認できるようになる。

5G開発には、引き続き注力

EETJ ノキアは5Gの開発に積極的に取り組んでいるメーカーの1つだが、進ちょくはどうか。

ウォン氏 ノキアは、NTTドコモと5G向け技術で共同開発を進めている他、ソフトバンクやKDDIとも、共同開発を進めるべく話し合いを行っている。Nokiaは5Gの研究開発に多大な投資を行っている。2016年にAlcatel-Lucentの買収が完了すれば*)、研究開発費は少なくとも2倍になるだろう。2016年は、恐らく45億〜46億ユーロ(5700億円前後)は研究開発費を確保できる見込みで、5Gへの投資も増やすことができるとみている。

*)Nokiaは2016年1月4日(フィンランド時間)、2015年末の株式公開買い付けで、Alcatel-Lucentの株式の約80%を取得したと発表した。また、買収完了後、日本の事業責任者にはウォン氏が就任する。

 ノキアは神奈川県川崎市にR&Dセンターを所有している。そこでは約300人のエンジニアが5G向け技術開発などを行っている。現在は、主に(5G向けに)ミリ波通信を研究しているが、今後はセンチメートル波通信も視野に入れる可能性はある。

 さらに、LTE-Advanced(4G:第4世代移動通信)と5Gをつなぐ技術である「LTE-Advanced Pro」も重要視している。LTE-Advanced Proは、LTE-Advancedよりも通信容量が大きく、低遅延で、IoT機器の接続にもより適したものになる見込みで、当社はLTE-Advanced Proに対応した製品も市場に投入する予定だ。

 この他にも2016年は、クラウドコンピューティングの開発やNFV(ネットワーク機能の仮想化)の商用化にも注力する。

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