ノキアソリューションズ&ネットワークスがジェジュン・ウォン氏を社長に迎えて約半年が経過した。同氏は、日本市場で最も注力すべきはシェアでトップを維持することだと強調する。さらに、Nokia本社によるAlcatel-Lucent買収も、日本の顧客にメリットをもたらすという。
フィンランドの通信機器メーカー大手Nokiaの日本法人であるノキアソリューションズ&ネットワークス(以下、ノキア)の社長に、2015年7月1日付で就任したジェジュン・ウォン氏。“つながりやすさ”など、通信の品質を世界で最も気にするといわれる日本での今後の戦略や、注力する5G(第5世代移動通信)開発、さらに、NokiaによるAlcatel-Lucent買収などについて、ウォン氏に話を聞いた。
EE Times Japan(以下、EETJ) 2015年7月に社長に就任して約半年だが、まずは日本市場での戦略について聞かせてほしい。
ジェジュン・ウォン氏 当社は日本の無線基地局市場でシェア1位を獲得しており、日本における存在感は強いと認識している。そのため、今後もこのシェアを維持することが最優先事項と考えている。
2つ目として、日本のキャリア(通信事業者)のLTEネットワークビジネスを支援していきたい。現在、キャリアはLTEネットワークの敷設を終えた段階、つまり投資を終えた段階だ。これからは、いかにその投資を回収するかが重要になる。その一例として、通信容量の超過による課金システムが挙げられる。(課金システムはコアネットワークの機能の一部を利用するので)ノキアとしては、課金システムを構築しやすくなるようなコアネットワーク向け製品を提供することで、キャリアが新たな収益源を確保する手伝いをしたい。
3つ目として、通信の技術革新をけん引するメーカーになることを目指す。NokiaはフランスのAlcatel-Lucentを買収し、LTE基地局の世界シェアでトップとなる。日本でLTEから5Gに移行する際に必要な技術を備えていると確信している。
EETJ 具体的に、どのようにシェアを維持していくのか。
ウォン氏 実装と運用の両面でコスト効率がよく、使いやすい製品を引き続き提供していく。顧客のニーズをくみ取り、研究開発チームと常時連携して、そのニーズを反映するような製品づくりを行うことが重要だ。
日本市場はNokiaにとって非常に重要だ。2020年に商用化を目指して研究が進められている5Gなど、日本の通信市場は先端を行っている。さらに、日本では高い品質が要求されるので、製品開発においてノキアが学ぶことも多い。日本の顧客は品質での妥協を許さない。そこが他国の顧客とは異なるところだ。例えば韓国は、どちらかというと質よりも(製品提供の)スピードを求める。日本ではスピードよりも質を重視する。
また、Nokiaは無線基地局事業を世界中で展開しているが、同分野以外の領域も拡大しようとしている。また、IoT(モノのインターネット)向けネットワーク構築にも力を入れている。
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