富士経済は、次世代パワー半導体の世界市場に関する調査結果を発表した。SiCは、6インチ基板への移行が進まず、本格的な量産は2017年以降にずれ込む可能性があるという。GaNは、量産化へのハードルが低くなり、耐圧600Vから1200Vクラスの領域で需要が増加するとした。
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富士経済は2016年3月23日、シリコンカーバイド(炭化ケイ素/以下、SiC)やガリウムナイトライド(窒化ガリウム/以下、GaN)といった次世代パワー半導体の世界市場に関する調査結果を発表した。調査結果によると、パワー半導体市場全体が2兆6373億円に対して、次世代パワー半導体市場は188億円となっている。
2015年 | 2020年予測 | ||
---|---|---|---|
市場規模 | 市場規模 | 2015年比 | |
SiCパワー半導体 | 178億円 | 850億円 | 4.8倍 |
GaNパワー半導体 | 10億円 | 530億円 | 53.0倍 |
合計 | 188億円 | 1380億円 | 7.3倍 |
出典:富士経済 |
188億円のうち、178億円がSiCパワー半導体、10億円がGaNパワー半導体。SiCパワー半導体は、ウエハーの量産が進んでいるが、2015年は高品質の4インチ基板の需要が高く、6インチ基板への移行が進まなかったため、市場は178億円にとどまったとする。
2016年は6インチ基板の採用が活発化すると予想されるが、量産が本格化するのは2017年以降にずれ込む可能性があるという。同社は、「今後は、大口径化と電力損失が低減できるトレンチタイプが展開され、低価格化や高効率化が進むだろう」と語った。
GaNパワー半導体は、課題とされてきた電気特性やノイズ対策、低コスト化への取り組みが進み、量産化のハードルが低くなっているとする。600Vから1200Vクラスの耐圧領域で需要が増加しており、低価格化が実現すれば、市場が大きく拡大するとみられる。
SiCパワー半導体の市場を分野別でみると、サーバや無停電電源装置、ストレージなどの情報通信機器向け需要が大きい。新エネルギー向けには、太陽光発電用パワーコンディショナ向けの需要が高く、新興国では風力発電システムでの採用も期待されるという。
自動車/車載電装分野向けには、EV(電気自動車)/PHV(プラグインハイブリッド車)用急速充電スタンドや車載充電器などの需要が大きいとする。今後は、HV(ハイブリッド車)やEVの駆動用インバーターでの採用が増え、低価格化が進めば、2020年には電動自動車全体の5%に搭載されると予想している。
2015年 | 2020年予測 | ||
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市場規模 | 市場規模 | 2015年比 | |
合計 | 178億円 | 850億円 | 4.8倍 |
新エネルギー | 53億円 | 270億円 | 5.1倍 |
情報通信機器 | 68億円 | 172億円 | 2.5倍 |
自動車/車載電装 | 24億円 | 140億円 | 5.8倍 |
出典:富士経済 |
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