u-blox(ユーブロックス)はこのほど、V2X(車車間/路車間通信)市場に向けてIEEE 802.11p対応通信モジュールの第1弾製品のサンプル出荷を開始した。
「GPS、セルラーと同様に、V2X(車車間/路車間通信)でも成功できると確信している」
こう語るのは、このほど、V2X用無線として普及が見込まれるIEEE 802.11p対応通信モジュールのサンプル出荷を開始したu-blox(ユーブロックス)で、短距離無線製品部門の製品戦略ディレクターを務めるCostas Meimetis氏だ。
V2X市場をにらんだ802.11p対応RF IC/モジュールは、3年ほど前から半導体/モジュールベンダー各社が製品化し、世界各地でそうした802.11p製品を使ったV2X関連の実証試験が行われている。そうした中で、2016年3月に802.11p対応モジュールを初めてサンプル出荷したu-bloxのV2X市場参入は、決して早いわけではない。
しかしMeimetis氏は「北米で、市販車でのV2X/802.11p対応を義務付ける法制度が可決されるのは、早くて2016年夏。可決後、実際に施行されるのは2020年前後になる。逆算すれば、ちょうど、今頃から、自動車メーカーや電装品メーカーは、V2X用通信モジュールの評価、選定を始める時期。良いタイミングで、最初の製品をリリースできた」と語る。
V2X市場の立ち上がりに間に合わせるため、u-bloxは2年ほど前から802.11p関連の投資を積極的に行ってきた。2014年8月には、802.11pを含む産業機器向けWi-FiベースバンドIP開発のAntcorを520万ユーロで買収。さらに2015年1月には、車載グレード製品に特化したLesswireの短距離無線モジュール事業部門を買収。自動車市場で、802.11pモジュールを展開するための開発体制を整えた。
2015年10月には、世界各地のV2X実証実験で802.11pモジュールが採用されるなどリーダー的な地位にあるCohda Wirelessと、同社の最新製品「MK5モジュール」の設計資産をu-bloxが独占的に利用できるライセンス契約を締結したのだ。それまで、先行してきたCohda Wirelessだが、ソフトウェアIP開発に注力するため、モジュール設計IPをu-bloxに譲ることになったという。
このライセンス契約締結により、u-bloxは「最も成功している802.11pモジュール」(Meimetis氏)というMK5の設計IPを手に入れることで、先行メーカーに追い付いた。
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