STT-MRAMの基礎――情報の蓄積に磁気を使う:福田昭のストレージ通信(23) 次世代メモリ、STT-MRAMの基礎(1)(3/3 ページ)
見渡す範囲を電子レベルから原子レベルにまで広げると、原子にはスピンによる磁気モーメント(「スピン磁気モーメント」)の他に、電子の周回運動による磁気モーメント(「軌道磁気モーメント」)が存在する。両者の合計が、原子の磁気モーメントとなる。
原子の磁気モーメントを構成する2つの磁気モーメント(スピン磁気モーメントと軌道磁気モーメント) (クリックで拡大) 出典:CNRS
物質の内部で、同じ方向の磁気モーメントを有する原子が局在しているとしよう。その領域には「磁化(磁気モーメント)」が存在する。この磁化を情報の蓄積に利用したのが、磁気メモリ(MRAM:Magnetoresistive RAM)である。磁化の方向(磁気モーメントの方向)は角度で表現する。角度は0度あるいは180度である。それぞれを論理値の「高(1)」あるいは「低(0)」に対応させる。
そして情報の輸送には、従来のエレクトロニクス技術を利用する。
磁気メモリでは、同じ向きの磁気モーメントを有する原子が局在することで、情報を蓄積する。情報の輸送には従来のエレクトロニクス技術を利用する(クリックで拡大) 出典:CNRS
(次回に続く)
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