Qualcommの2016年1〜3月期決算は、専門家の予測を上回る好業績となった。中国企業との新たなライセンス契約の締結などが後押しとなったようだ。
ファブレスチップ最大手のQualcommは2016年4月20日に、3月27日を末日とする第2四半期の業績を発表し、ウォールストリートの予測を上回る売上高と利益を達成したことを明らかにした。また、LG Electronicsとの間で繰り広げてきたライセンス契約をめぐる争いについて、解決することができたとしている。
Qualcommは、「2016年第2四半期の業績が好調だったのは、Hisense Groupなどの中国企業との間で新たにライセンス契約を締結したことが後押しとなったためだ。また、チップセット事業部門に関しても、予想以上の業績を上げることができた」と述べている。
QualcommのCEO(最高経営責任者)であるSteve Mollenkopf氏は、業績発表に続いて行われたアナリストとのカンファレンスコールにおいて、「今回、予想を上回る業績を達成することができた。次なる段階の利益成長の実現に向け、さらなる取り組みを進めているところだ」と述べている。
米国の市場調査会社であるMoor Insights&Strategyでプレジデント兼主席アナリストを務めるPatrick Moorhead氏は、「Qualcommは、韓国と中国において自社技術のロイヤリティーを確実に保護するという重要な課題について、順調に取り組みを進めているようだ」と述べている。
また同氏は、「Qualcommは、韓国ではLG Electronics、中国ではHisense Groupとの間で、それぞれ重要な問題を解決すること成功した。中国では、Qualcommにロイヤリティーを支払っていないスマートフォンが販売されているという重要な問題を解決することができ、Qualcommにとってはなによりだった」と述べる。
しかしMoorhead氏は、「中国には、Qualcommの技術に対するロイヤリティーを支払っていない企業がまだまだ存在するため、さらなる取り組みが必要だ」と付け加えた。
Mollenkopf氏はカンファレンスコールの中で、「中国におけるライセンス問題に関しては、順調に対応を進めている。当社にとっては、今後も注力していくべき重要な課題だ」と述べている。
Qualcommによると、2016年第2四半期の売上高は56億米ドルで、同年前期比では4%減、前年同期比では19%減だったという。また、純利益は12億米ドル(1株当たり0.78米ドル)で、同年前期比では19%減だが、前年同期比では11%増だった。
アナリストの以前の予測では、Qualcommの2016年第2四半期の売上高は約53億米ドルだったことから、実際にはこれを上回る結果となった。また、同社の1株当たりの利益は1.40米ドルで、これもアナリストの予測を上回っている。
Qualcommは、2016年6月を末日とする第3四半期の売上高については、前年同期の55億米ドルに対し、52億〜60億米ドルの間になる見込みだとしている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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