ルネサス エレクトロニクスは2016年5月11日、2015年度(2016年3月期)決算と、構造改革策である「変革プラン」の進捗(しんちょく)状況について説明を行った。
ルネサス エレクトロニクスは、作田久男氏が会長兼CEOに就任した2013年6月から、経営再建を目指した構造改革策「変革プラン」に取り組んできた。
変革プランは、「マーケットイン志向」「内部運営」「さらに強固な財務体質の構築」という3つの課題の解消を狙う趣旨で策定。「2016年度、粗利率45%、営業利益率2桁パーセント達成」という利益重視の数値目標を設定し、事業の選択と集中、生産構造改革、業務オペレーションの変革の3つの施策を柱にする。
2015年6月に作田氏は会長兼CEOを退任したが、その後、遠藤隆雄前会長兼CEO体制、さらには2015年12月からの鶴丸哲哉社長兼CEO体制へと引き継がれ、継続的に実施。その結果、変革プラン実施前に22ラインあった製造ラインを11ラインに、従業員数も3万3840人から1万9160人へと約1万5000人削減するなどし、固定費を2012年度比で約1500億円削り、黒字体質の企業へと“変革”した。
そうした中で、2015年度業績は、売上高6933億円、営業利益1038億円、最終利益863億円を達成。売上高こそ、選択と集中による不採算事業からの撤退影響で変革プラン実施前の2012年度から500億円程度減少したものの、営業利益率は15%で、数値目標に到達している。もう1つの数値目標である粗利益率も2012年度の30.9%から44.1%へと、目標の45%まで、あとわずかな所まできた。
変革プラン完遂は目前のように見えるが、常務兼最高財務責任者の柴田英利氏が「ここまで順調にきたが、全てが順調なわけではない」と語るなど、いくつかの課題が生じているのだ。
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