こうした課題に直面し、「2016年度、粗利率45%、営業利益率2桁パーセント」という目標達成は微妙になってきた。
その中で、これら課題に対応し、さらなる利益改善に向けた追加施策を実施する。
具体的には、「さらなる選択と集中の加速」を掲げ、全売上高9%相当分残っている非注力製品からの撤退を継続しつつ、懸案の採算割れ製品の粗利率改善に向けた対応を実施し、利益確保に動く。さらには、生産構造改革で追加施策を実施する。鶴丸氏は「最適な生産体制に向けて、まだやり残しがあり、(製造ラインのウエハーサイズを)6インチから8インチ、12インチへシフトさせる必要がある」と表明。「6インチ拠点について再編を含めたあらゆる可能性を震災対応にメドが付いた時点で検討する。そして顧客とも十分なリードタイムを設けながら、計画を進める」と語った。
これら施策により、鶴丸氏は「2016年度、粗利率45%、営業利益率2桁パーセントの達成を目指す」と変革プランの完遂を重視する姿勢を強調した。
1年前、作田氏は「構造改革に一定のメドがつき、成長に向けてギアチェンジするため」と遠藤氏に会長兼CEO職をバトンタッチし、売り上げ増を伴う成長路線へとかじを切った(関連記事:焦りは禁物、でも大胆に――ルネサスの成長を託された遠藤新会長が会見)。しかし、その遠藤氏は2015年12月に辞任。新たに社長兼CEOに元カルソニックカンセイ社長/日本電産副社長の呉文精氏を招聘(しょうへい)することが決まっているものの、成長路線へのシフトチェンジは遅れていると言わざるを得ない。この日の決算説明会でも、売り上げ増に向けた施策の説明は、注力分野への研究開発費投入を増やしていること以外、具体的なものはなかった。
2016年度も「非注力事業からの撤退影響により売り上げ面は厳しい」(柴田氏)と売り上げ減傾向はしばらく続く見通しで、成長へのメドは付いていない――。
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